2012年7月1日日曜日

最近観た映画『シャーロック・ホームズ』『ドラゴン・タトゥーの女』『スーパー・チューズデイ』『フリューゲルの動く絵』『ミッドナイト・イン・パリ』

3ヶ月も更新をサボってしまった。断片的なことは、ツイッターとフェイスブックに書き留めることが習慣になっているので、ブログは、少しテーマ性のあることをまとめて書こうなどと思っていると、ついつい先送りになってしまう。
映画については、自分の備忘録としての意味もあるので、公開時期からはだいぶずれてしまったけれど、記しておきたい。

『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』
物心ついた頃から、本を沢山読む子供だった。親の教育もあると思うけれど、同じ環境だった妹は読書しなかったから、そういう性質だったんだろう。小学校低学年では、親から与えられた「ドリトル先生シリーズ」「アーサーランサム全集」(『つばめ号とアマゾン号』とかね。)「ケストナー全集」(『二人のロッテ』とか)で、高学年に読みふけったのが、シャーロックホームズシリーズだった。当時は、好きになった作家やシリーズで文庫本か、図書館で、手に入るのは全部読んでいた。中学生時代に太宰治と司馬遼太郎を読みあさったのを最後に、小説から人文科学系の新書に興味は移っていったけれど。
シャーロックホームズは、英語の勉強になるかと思って、短編集を英語版も買ったりした。ホームズファンはマニアックで熱狂的なファンがたくさん居るので、ファンのうちには入らないかもしれないけれど、ベーカー街のホームズの部屋には、イメージがある。勝手に浮かぶ景色を持っている。
ということで、この映画。ともかく思ったのは、ホームズファンは怒るだろうなということ。世界観が全然違う。ホームズとワトソンの男色を匂わせるような台詞もあって、衝撃だった。世界中のホームズマニアは、決してこの映画を許さないだろうなと思うと、その事にどきどきして、映画に集中できなくなった、ホームズとかワトソンとか言わないでくれれば、もっと楽しめたのになぁ。
エンタメ映画としては、良く出来ているし、とても面白いです。

『ドラゴン・タトゥーの女』
傑作だと思う。骨太な構成と練られた脚本。映像の美しさ。申し分ない。デヴィッド・フィンチャー監督はミュージックビデオの印象の方が強かったけれど、改めて映画監督しての実力を思い知った。
ダニエル・クレイグには、これまであまり興味なかったけれど、本作を観て、好きになった。でも、なんと言っても賞賛すべきは、主演女優のルーニー・マーラーだと思う。幼少期に問題を抱える影のある役を見事に演じている。ハードなシーンも多いのだけれど、観た後に、映画『ソーシャル・ネットワーク』で、主人公ザッカーバーグの恋人役もやっていたことを知って、心底驚いた。思いっきりコンサバな女子大生の役だったから。どんだけ芸の幅が広いねんっ!
脚本はミステリーとしても非常によくできている。原作がベストセラー小説だったというのも納得。見逃した人は、DVDで是非!ディレクターズカットで観た方が良いと思う。

『スーパー・チューズデイ』
「天は二物を与えず」という諺があるけれど、ジョージ・クルーニーは、いくつ持っているのだろう?俳優として、監督として、映画プロデューサーとして、どれも成功して、大きな経済力を持ち、米国政界にも影響力があるという。羨ましいを越えている。
本作は、米国の大統領選挙の内幕が鋭く描かれる映画。面白い。主役は選挙参謀。若き参謀が、様々な陰謀に翻弄されているうちに、自ら権謀術数に長けていくという、悪漢ロマン的なシナリオ。
ジョージ・クルーニー演じる大統領候補も、ライアン・ゴズリングが演じる若き選挙参謀も、高い志を持って、政治に取り組み始めるのだけれど、実際に選挙に勝つためには、きれい事では済まなくなっていく。考えさせられるところも多いけれど、テンポの良い展開にハラハラしながら引っ張られていくことになる、よくできたエンターテイメントとなっている。オススメです。

『フリューゲルの動く絵』
一転して、とてもアート的な映画。
中世最後期の画家、ブリューゲルの絵のモデルに多くの民衆をかり出している聖書の世界を再現させるという設定。16世紀に描かれた「十字架を担うキリスト」のシーンが再現されている。摩訶不思議な寓話の世界と謳われているけれど、寓話と言うよりは、芸術家の妄執を感じた。そして画面が非常に美しいのが印象的だった。
 シナリオが練られた作品が好きで、映画は「火薬の量やSFX効果より、脚本が練り直された回数」の方が大事だと思っている僕だけれど、こういう絵画的な映画も好きだ。
これは映画館で観たい類の映画で、小さな画面では、その良さがわかりにくいもしれない。

『ミッドナイト・イン・パリ』
好きな街はどこかと問われれば、迷わずに、ニューヨークとパリと答える。世界中で、色んな街に行ったけれど、今のところ他にいつでも行きたいと思える都市は無い。
20代半ばで初めてニューヨークに行ったとき、このまま留まって住もうかと思った。東京で生まれ育った僕の働き場はここしかないのではと。その時はもう会社を始めてたから、もちろん帰国したけれど、以来、折にふれて訪れている。
パリは京都的なよそ者への冷めた暖かさと、長い歴史に裏打ちされた猥雑さが好きだ。ニューヨークに住めば、多分俺もニューヨーカーだけど、逆立ちしてもパリジャンにはなれない。そんな僕にとって、ニューヨーカーであるウッディ・アレン監督が撮った憧れのパリ映画、しかも過去の芸術家達にタイムスリップして会いに行くという設定らしい、絶対、見逃せない!
そして、期待は裏切られなかった。ウッディ・アレンらしい洒脱な世界を堪能。大好き!

2012年3月31日土曜日

編集者に著作隣接権を持たせたい理由を情緒的に説明してみる。〜『編集進化論』を読んで〜


 最近、出版社が原版権という著作隣接権を法制化しようという動きがある。


 一部の作家からは、懸念の声も上がっているようだ。このまとめからを読むと、漫画家さんも出版社側も知識、情報が足らずに混乱しているようだ。この種の話は、疑心暗鬼な人が多いとなかなか着地できない。


 結論から言うと、僕は法制化に基本的に賛成だ。出版社や編集者の役割、貢献に対して、著作隣接権的な権利を持つのは当然だと思う。出版物は、音楽以上に多岐のジャンルがあり、分野ごとにビジネススキームや業界慣習も違うから、一律でルールにするのは難しいところもあるだろうけれど、音楽ビジネスをしている立場から見ると、これまで無かったのが不思議に感じられる。

 音楽業界には、作詞作曲家やアーティストの権利とは別に、通称、原盤権と呼ぶ、レコーディングに携わり、その費用を負担した者に著作隣接権という権利が認められている。楽曲の著作権についても人格権と財産権を振り分けて収益をシェアしたり、許諾を信託したりと様々な仕組みと慣習がある。デジタル時代に合わせた修正は必要だけれど、基本的な考え方はできているし、その運用もスマートで、率直に言って、出版業界よりは洗練されていると思う。
 ここ数年、電子書籍に関するセミナーや勉強会に呼ばれてお話しする機会があるけれど、音楽業界で長年仕事している感覚だと、隣接権無しでビジネスが成立してきたことに驚いてしまう。
 作品そのものに権利を求めなくても、印刷して流通して書店に並べるという機能の影響力が大きくて、そこを押さえておけば大きな問題は起きなかったのだろうと想像する。書籍の問屋「取次」が強い力を持っているという話は聞くし、印刷、製本なども資金力が必要だしね。
 近年の電子書籍の出現が、いわゆる「中抜き」という現象をかいま見せていて、慌てて、対応しているというのが実際のところなのだろう。

 僕は出版社の既得権益については、是々非々でクールに考えれば良いと思っている。インターネットが広まれば、個人と個人だけの取引に集約されるというのは幻想だ。資本力の重要性や既得権は形を変えるだろうけれど、簡単に無くなる訳じゃ無い。ユーザー嗜好の変化による市場の淘汰や政府の規制や様々な環境変化の中で、各出版社が企業として生き残り策を考えていくだろう。

 僕がこの機会に強調したいのは、(広義の)編集者の役割の重要性だ。ジャンルによっても違うだろうし、作家のタイプや個々の作品の成り立ちによって、果たす範疇は、かなり多様だけれど、良い作品になるかどうか、書籍が売れるかどうかには、編集者の職能の重要性は非常に高いと思う。

  『編集進化論─editするのは誰か?』(フィルムアート社)を読んで、その思いが強くなった。

編集は「と」の仕事。「と」はVSにもなるし、andにもなるし。withにもなるし、orにもなる。いろいろな組み合わせで二つの文化をつき合わせられる。

という一文が素敵だ。

 仲俣暁生さんは著者として『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神Lマガジン)も書かれている。この本も素晴らしい。雑誌への愛情とクールで分析的な視線が両立していて感銘した。僕らスタッフは、この両立がとても肝要なのだ。

 もうお気づきかもしれないけれど、僕が、編集者の権利に熱くなるのは、自分達が音楽に於いて果たしている役割と相似形に見えるからだ。アーティストが成功するかどうかは、マネジャーやプロデューサー、エンジニアなどスタッフとの出会いが非常に大きい。(このことについては、「ミュージシャンよ大志を抱け!〜音楽関連ビジネス書ブックレビュー〜」をご覧下さい。)
 
 そして、音楽業界でも、もうレコード会社は要らない、と「中抜き」現象が起こりつつあるように言われているけれど、僕はちょっと違う見方をしている。
 田坂広志さんが著書『未来を予見する5つの法則』(光文社)で定義してるように「ニューミドルマン」が重要だ。
 
 従来の中間業者が「企業」の方を向いて「販売代理」のビジネスモデルで仕事をしていたのに対し、ニューミドルマンは、「顧客」の方を見て「購買代理」の仕事するのです。

 これまでの仕組みとスキルにしがみつくのでは無く、新しい環境に適応した形で作品とユーザーを結びつける「ニューミドルマン」の職能が、むしろ必要性が増している気がする。

 例えば、レコード会社の営業マン。CDショップに足繁く通ってバイヤーと仲良くなり、商品本部のキーバーソンとお酒を飲んで多くの注文数を取ってもらい、レコード会社とCD店のバックマージンの調整が得意な人は、確かにもう必要ない。でも同じ営業でも、店頭を通じて、リアルに市場を見ていた人は、新しい環境でもできることがある筈だ。ユーザーへのリコメンド力は、情報が拡散するソーシャルメデイア時代には、より重要になっている。必ずや「ニューミドルマン」として果たすべき仕事がある。
 出版社も同様だと思う。新しい時代にあった「ニューミドルマン」たる編集者は、むしろその重要性を増している。

 僕は昨春に初めて著書を刊行させてもらった。ダイヤモンド社にプレゼンテーションに行った時は、レコード会社に初めて行くときのバンドマンの気持を疑似体験をしたみたいだった。当初の出版予定日が延期になった時にも、アーティストの気持ちが少しわかった気がした。申し訳なさそうな態度で、延期する事情を正確に伝えながら、ポジティブな側面にできるだけ目を向かせるような話し方をしてくれる編集者が本当にありがたかった。そして「これは、普段、俺がやっている仕事だ」と実感した。
 その時に思い出したのは、成功するアーティストは、必ずスタッフへの感謝の気持を持っているということ。長年積み上げてきたスタッフの苦労を簡単に裏切る人もいるけれど、そういう音楽家は、音楽の世界から離れていくことになる。

 作家への愛情と市場への計算を両立させ、作品性を損なわずにユーザーと繋ぐには、プロフェッショナルなスキルと強い情熱が必要だ。出版ビジネスにおける著作隣接権を考えるときに、編集者の役割の再評価と再定義がされることを期待して、「隣の村」から暖かく見守っていたい。

 ビジネス面での分析を期待した人にはごめんなさい。本稿は情緒的な話です。エンターテインメントは、関わる人たちの心意気も重要なんだよ^^

2012年3月17日土曜日

最近観た映画『マリリン7日間の恋』『ももへの手紙』『監督失格』『風にそよぐ草』『HUBBLE』『スリ』『ラルジャン』

最近は、「ライフログ」って言葉をあまり聞かなくなった気がする。IT用語は流行廃りがあるからね。表現はともかく、ライフログ的に、自分の行動記録は、支障が無い範囲で公開して、記録に残していこうと思うようになった。ソーシャルメディアが情報のプラットフォームになる時代に生きていて、コンテンツに関わる仕事をしているし、去年はソーシャルグラフをテーマにした本も出したし、その責任もあるかなと。
読書記録は、メディアマーカーにまとめている。映画は、せっかくブログを始めたので、定期的にまとめて書こうと思っているのだけれど、気付くと1ヶ月以上経って、旬なネタじゃなくなってるな。と反省しつつ、最近観た映画。試写会で観させていただくことも多いので、タイミング良く紹介するようにします。

『マリリン7日間の恋』
今年は、マリリンモンローの没後50周年。イベントなどもいくつか行われるマリリンブームの中、アニバーサリーな映画。『王子と踊り子』撮影中のエビソード。映画業界に憧れて、見習いで現場にいた青年とマリリンとの淡い交流の話。実話ベースらしい。ミシェル・ウィリアムズには、興味なかったけど、この演技は良いね。セクシーで可愛らしい。アカデミー主演女優賞は、メリルストリープだったけど、惜しかったね。構成、編集のテンポ感も良くて、飽きさせない。マリリンファンじゃ無くても楽しめる。お薦めです。3月24日公開。    

『ももへの手紙』
アニメーション(animation)という英語が、日本語からの逆輸入でアニメ(anime)として広まり、日本のアニメを指す言葉として世界中で使われるようになって久しい。その代表の一つは、なんと言ってもジブリ映画だろうけれど、プロダクションIGがつくったこの作品は、そんな日本アニメの様式に則った映画だと思った。
主人公は11歳の少女。父親を失って、母と一緒に田舎の島に移り住んでくる。妖怪達との心の交流があり。と、既視感のあるような、いかにも日本アニメのフォーマット。物語の展開自体に、心踊らされるところは、正直無いけれど、すべてにおいてクオリティは高い。ジブリとの違いは、「作家性」の有無だろう。ジブリは、どんなに様式を踏まえていても、それを凌駕する(あるいは、はみ出る)作家の表現がある。そういう意味で、この作品は「四隅がきちんしたお行儀の良い」映画だ。日本アニメの様式を踏まえた良質の映画が、観客からどう評価されるのかに、興味がある。4月21日公開。興行成績が気になるな。

『風にそよぐ草』

神保町の岩波ホールに、ものすごく久しぶりに行った気がする。『ヒロシマモナムール』も撮った巨匠の作品。難解という訳じゃ無いけど、ちょっとヘンテコなストーリー。拾った財布の持ち主に恋する老人が、ストーカー的な行為をはじめるって、どうよ?
でも、『アメリ』に通じるフランスらしいエスプリは感じたし、映像は綺麗で、嫌な感じはしない。何故か清々しい。不思議な映画だった。


『監督失格』
評判が良いけれど、見逃していたので、下高井戸の名画座的な映画館で一人で観たのだけれど。観終わった後に何ともいえない気持ちが残る。涙は出るけれど、悲しいとか感動とかいう言葉は違う。AV女優と監督の恋愛と、その後の交流に感情移入はしにくい。でも、愛とか、幸福とか、人生とか、親子とか、色んな事に思いを馳せることになるから、心の琴線をひっかかれるということは、良い映画なんだよね。「(エンディング曲の)矢野顕子は素晴らしいとか」「やっぱり、親孝行しなくちゃ」とか、脈略ない独り言を言いながら、下高井戸シネマを後にした。


『HUBBLE 3D 〜ハッブル宇宙望遠鏡〜 』

2年前くらいから、3D映画が広まっているけれど、正直言うと、苦手だ。眼に負担が掛かって、頭痛になりそうだし。眼鏡も邪魔。エンターテインメントビジネスに携わる者として、新技術は大切だし、映画業界の売上にも貢献するのだろうから、できるだけ批判しないようにしているけれど、1ユーザーとしては、少なくとも今の技術の3D映画が、あまり広まらないことを密かに祈っている。
そもそも、小説でも音楽でも映画でも、ヒトの想像力を刺激するのが素晴らしい作品だと思っているので、必然性も無く、3Dを導入している映画には辟易してしまう。
この映画の3Dには、明らかに必然性があった。しかもiMaxシアターの巨大スクリーンの3D。地上600kmの軌道上を廻る天体望遠鏡の修理をする宇宙飛行士のドキュメンタリー。まさに衛星の中にいる気分になり、宇宙の神秘や人間の小ささを実感させられた。星が好きな人には、激オススメです。

『スリ』 『ラルジャン』
10代の頃は、名画座と言われる映画館によく通った。二本立て、三本立てが普通で、名作を上映する映画館が、東京にはたくさんあったけど、随分減ったよね。VHS〜DVDが普及して、レンタルして自宅で観られるようになったからだろうけど。そんな中で、早稲田松竹は独自のキュレーションで頑張っていると思う。ブレッソン監督特集をやっていたので、観に行った。
フランス映画の巨匠。ヌーベルバーグに影響を与えた人と僕は理解しているのだけれど、違っていたら教えてください。60年代のモノクロと80年代の映画を続けて観ることができたので、面白かった。作風ってあるんだなって、当たり前のことを思ったり。主人公もスリとか偽札とか犯罪者だしね。


 以上、7本。
 それにしても、映画って一言でいっても、いろんなジャンル、カテゴリーがあるね。今後も雑食でいこうと思います。

2012年3月3日土曜日

音楽とクラウドについて話してきました。〜日本レコード協会セミナー報告〜



先日、日本レコード協会のセミナー講師として、クラウドと音楽についてお話ししてきた。レコード会社のスタッフ向けのクローズドな会だったので、自分の備忘も兼ねて、概略を記録しておきたい。

日 時:平成 24 年 2 月 28 日(火)14:00~16:00
場 所:東京ウィメンズプラザ ホール(1F)

通常よりかなり多い200人近い申し込みがあったそうで、関係者も含めて、客席は8割位埋まっていた。昨年、ビジネス書を出版してからは、人前でお話するのも慣れてきたつもりだったけど、同業者が沢山集まって、しかも知人もいつつ、知らない人も沢山という、HomeだかAwayだか、よくわからない環境で、久しぶりに緊張した。

【テーマ】クラウドサービスが今後の音楽ビジネスに与える影響と対応策について
【ajenda】
  1. [山口講演] クラウドとは何か、クラウド型音楽サービスの紹介

全体のテーマは、協会から依頼されたままにした。自分一人で二時間という持ち時間を充実させるのは難しいと思い、ゲストをお願いした。自分の立ち位置を、来場者と同業の音楽業界視点にすることにしたので、異業種が良いと思い、NTTの中でエンタメコンテンツに詳しい伊能美和子さんをお招きした。
最初に20分一人で話した。自己紹介をした後、講師依頼を受けて驚いたのは二つの理由で、自分のような者がレコ協のセミナーで話すなんて恐れ多いということと、今頃クラウドテーマって3年遅いっていうことと二点だ。と謙虚なんだか辛口なんだかわからない導入にしたけれど、どうだったのかしら?
その後、クラウドという概念の説明を、すべてがオンライン上にあるのを雲に喩えたのはグーグルのCEOだという様な話も含めて、ごく簡単にして、常時接続環境とセットな事、「クラウド」と「ソーシャル化」がインターネットの2大キーワードだと説明した。すべての産業が再定義される時代に音楽だけが例外なのはあり得ず、むしろ音楽は時代の先端をいくべきだ、と。後半は、JRC荒川社長から許可をいただいた受け売りで、クラウド型のストリーミングサービスを3種に分け
1)オンラインデュークボックス:Spotify型
2)リコメンデッドラジオ:PANDORA型
3)ストレイジ・個人ロッカー:iCloud型
それぞれの、海外含めた現状を紹介した。
3については、著作権の解釈が悩ましい。ユーザー的には自分が買った音楽を自分のクラウドに置くのは自由にやれないのは納得できないだろう。一方で権利者側から見ると、今のiMatchのシステムだと、違法で入手した音源をクラウドに上げると高音質で手に入るという一種の「ロンダリング」機能にもなっているので、容認しにくい。
本質的には、著作権の私的複製の考え方で対応するのに無理があるので、アクセス権的な考え方で法律や慣習を作り直すしかないのだけれど、というような問題提起もして、一休み。

2. [伊能さん講演] 通信事業者からみたクラウドビジネス、音楽と技術の連携


さすがにプレゼン慣れしていて、わかりやすい説明だったと思う。通信事業者の立場からネットワークや技術などクラウドに関することをまとめてくれていた。
また、受講者全員に、NTTの副社長の方が書かれた、クラウドの教科書みたいな本『クラウドが変える世界~企業経営と社会システムの新潮流~』(宇治 則孝著/日本経済新聞出版社)をプレゼントしてくれたのもありがかった。

3. [対談部分] 新時代のクラウドサービスについて


対談部分は、トッピクスを7つ選んで、会場も巻き込んでのトークにしたかったのだけれど、実際は、客席からの意見は少なかった。
この辺の話は、またする機会もあると思うので、テーマを並べておくことにする。
「ユーザー目線で、ライフスタイルの提案と共に新しい需要を喚起するように頑張ろう!」というような方向で話をしたつもり。
質問があればお受けします。
  テーマ1 所有から利用(シェア)へ
  テーマ2 音楽を聴く環境の劣化?
  テーマ3 クラウドで広がる新たなサービス
  テーマ4 リコメンドにつながる新技術~ログからコンテクストへ~
  テーマ5 音楽とライフスタイル
  テーマ6 グローバルビジネスにつながるクラウドメディア
  テーマ7 国産音楽クラウドの必要性

配付資料には、僕が書かせて貰った『デジタルコンテンツ白書2011』音楽部分のコピーもつけた。音楽業界の活性化のために少しでも役に立てたのなら嬉しいのだけれど、、。
色んな方と近未来の音楽ビジネスについて話す場を定期的に持ちたいと思ってるので、近々何か始めようかな。

関連投稿:日本の音楽配信事情2011〜ジャーナリストや評論家に音楽ビジネスの間違った認識が多すぎる!〜



2012年2月18日土曜日

ミュージシャンよ大志を抱け! 〜音楽関連ビジネス書ブックレビュー〜


PeaTixの『音楽・アーティスト活動のこれから 〜Direct to Fan (D2F) マーケティング時代のサバイバル術〜』にゲスト出演した。書籍について語るというのも興味深い体験だった。いらしてくださった皆さん、ありがとうございました!沢山の方にいらしていただいて嬉しかったです。楽しんでもらえたかしら。

このセミナーは、『グレイフルデッドにマーケティングを学ぶ』という本がテー
セミナーでも話したので簡潔に。とても素敵な本で、装丁やエディトリアルデザインも素晴らしい。でも、デッドの活動を『フリー』や『シェア』といったインターネット時代のトレンドと結びつけて分析するのは良いとして、ドラッグカルチャーやヒッピームーブメントまで、全部ざっくりまとめて、ジョブズまで引き合いに出して、礼賛する論理は、いくら何でも乱暴だ。ミュージシャンやマネージャーは、あくまでエンタメ本として読んで欲しい。

最近、音楽ビジネスに関連する本が出ているので、いくつか紹介しながら、持論をまとめてみたい。

『ビートルズのビジネス戦略』。すごく面白い本だけれど、『さおだけ屋はなぜ潰れないか』が、さおだけ業界のノウハウを書いた本では無く会計学の考え方を伝える本であるように、音楽ビジネスについては、あまりちゃんと語っていない。ビジネス戦略の考え方を平易に学ぶことはできるかもしれないし、ビートルズに関する雑学は身につくけれど、この本を読んで音楽ビジネスがわかった気になるのは、やめた方がよいと思う。

セミナーの会場にもなっていた残響レコードの社長、河野さんとはまだお話ししたことがない。彼が書いた『音楽ビジネス革命〜残響レコードの挑戦〜』(ヤマハミュージックメディア)は、実践の記録で具体的だ。
 インディペンデントのレーベルとして、音楽性が高いだけで無く、その戦略も卓越していると思っていたど、この本を読んで、改めてその思いを強くした。この本によれば、河野さんも自分のやりたい音楽を好きにつくれる環境を手に入れるために、9mm Parabllem Bulletというバンドを売り出したということになり、とても大変な事だけど、良い話だなと思った。

『次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル』(リットーミュージック)
著者の永田純さんは、業界で「どんべい」と呼ばれている。僕も親しみを込めて「どんべいさん」と呼ばせていただいている尊敬する先輩だ。矢野顕子さんのマネージャーを長く務められていた。大好きな『スーパーフォークソング』というアルバムの制作風景がビデオ化されていて、その映像でどんべいさんの仕事ぶりを観て、格好いいと憧れたのを今でも覚えている。
そんな著者だけに、さすがの内容。時代状況の分析も的確だし、ノウハウの説明も具体的かつ丁寧だ。音楽への愛も溢れている。
ただ実際の話、このシステムを活用して、ビジネスができる「次世代ミュージシャン」って本当に出てくるのだろうか?「次世代」では出てきて欲しいというどんべいさんのロマンは理解できるし、共感するけれど、残念ながらイメージできない。自分「だけ」が食えれば良いと思う音楽家が増えても意味ないと思うし、「バイトをしないで音楽だけで食う」というのも、ずいぶん低い目標だと思って、意義を感じないのが、ぶっちゃけた気持。僕はむしろ、若手マネージャーが、自分の仕事の再確認も兼ねて、読んで欲しいと思った。業務改善やストラテジー構築には、とても役に立つ本だ。

音楽業界について、書かれた本では無いけれど、音楽家が書いたビジネス書の紹介。
著者の沖野修也さんも、尊敬する友人だ。彼が京都から東京に出てきて、ROOMというクラブを始めてすぐ知り合ったから、もう何年になるのだろう?そんなに長い時間を一緒に過ごしたわけでは無いけれど、節目節目で、深い関わりがあって、思いで深い友人だし、その才能と人間的な器量をとても尊敬している。
  僕がダイヤモンド社からビジネス書を発行した同じ日に、彼も別の出版社からビジネス書『フィルター思考で解を導く』(フォレスト出版)を出版されたのは、やはり縁があるなと感じて、なんか嬉しかった。残念ながら、この本は、「ビジネス書だから幅広く」という風に思ったのか、沖野君の才能と実績を知っている者からすると、切れ味が鈍くて、物足りない。もっと、大風呂敷を広げて欲しかったなと思う。
  ちなみに、彼が書いた『DJ選曲術』(リットーミュージック)は、歴史に残る名著だと僕は思っている。沖野修也に興味を持った人は、是非、『DJ選曲術』を読んで欲しい。クラブミュージックやDJについてのhow toでありながら、同時に音楽論、文化論として秀逸で、非常に深い洞察がある。音楽に関わる人はジャンルを問わず必読だと思う。僕は、若手ミュージシャンに貸して、誰に貸したかわからなくなって、買い直してということを、何度も繰り返している本だ。オススメです。

さて、セミナーの中でも、発言したけれど、これからプロになろうとするアーティストへの助言。
アーティストが責任感と高い意識を持って活動する必要があるというのは当たり前のことだ。同時に、「売れたアーティストの影には名マネージャーあり」というのが、日本の音楽業界の鉄則だ。マネージャーは、基本的に裏方であることに誇りを持っているので、表に出るのをよしとしない。自分の手柄もすべて、アーティストがやったように見せるのが、名マネージャーの共通点だ。だから、一般には伝わってない場合も多いけれど、僕が知り限り、日本でマネージャーなり、ディレクターなり、能力のあるスタッフなしに、セルフマネージメントだけで成功したアーティストは寡聞にして知らない。売れた後には、多少のビジネスセンスがあれば、アーティストが社長で、スタッフを雇ってやることはできるし、そういう例は沢山ある。ただ、世の中に出て、広まっていく過程では、優秀なスタッフは必須なのだ。
但し、このマネージャーは、既存の業界人である必要は必ずしも無い。アマチュアバンドと素人マネージャーが成功した例はたくさんある。その風通しの良さが、日本の音楽業界の良いところだし、芸能界とは違うところだと僕は思っている。
だから、音楽家として成功したいと思ったら、優秀なスタッフを探すべきだというのが、改めて音楽ビジネス書を読んだ僕の結論。我田引水と言わないで欲しい。信用できる友達をマネージャーにしてもいいのだ。残響の河野さんは、自分が、他のバンドのマネージャーになって成功したことで、自分のバンドも活動できているということだと僕は理解している。

そんな意味でもお薦めしたいのが、加茂啓太郎さんの『ミュージシャンになる方法』(青弓社)。
これは名著だ。もうずいぶん前に出版された本だけど、本質的な話なので古びていない。プロになりたい人は、この本は必読。というか、これだけ読めばよいと僕は思っている。音楽への愛を熱く語れる人は多くても、俯瞰して論理的に自分の仕事を説明するのが下手な音楽業界人が多い中で、加茂さんは抜群だ。
10年前の本が古びないと言うことは、方法論やツールは変わっても、音楽ビジネスの大切な部分は実は変わっていないのだということも改めて確認する。

ちなみに、音楽著作権について説明した本は沢山あるけど、薦めたい本は無い。どの本も書いてあることは正しいけれど、根本的なところに、大きな問題がある。実業に携わってない人が書いてるから、アーティストの「権利」だけで「義務」について書かれてないのだ。そんな本を読んで真に受けて、権利だけを主張しても、何も始まらないし、成功できない。権利について学びたいなら、手前味噌だけど、音制連が出しているフリーペーパー『音楽主義』を手に入れて読めば良い。著作権や隣接権について連載があり、バックナンバーもwebで公開されている。

それから、手前味噌ついでにもう一つ。拙著『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)はビジネス書だけれど、Sweet Vacationというガーリーハウスユニットのソーシャルメディア活用の記録に一章、応援してくれたインフルエンサーのみなさんを集めた座談会に一章をそれぞれ割いて紹介してる。アーティストPRのソーシャルメディア活用としては、最先端の記録だと自負しているので、興味がある方はご覧いただけると嬉しいです。


 追伸的に、もう一冊素晴らしい本を紹介したい。『上を向いて歩こう』(岩波書店)。著者の佐藤剛さんは、業界の大先輩。とてもお世話になった方でもある。以前、東京エスムジカというアーティストを立ち上げた時、メジャー2枚目のアルバムは海外レコーディングをしようと思った。BOOMなどで海外経験豊富で、ワールドミュージックにも詳しい剛さんに、まず最初に相談に行った。モンゴルの馬頭琴とホーミー、インドネシアのジャワガムラン、ルーマニアのジプシーバンドとレコーディングをしたアルバム『Switched-On Journey』を作ったのだけれど、剛さんのアドバイスにはとても助けられたし、勇気づけられた。最近はプロデュースよりも著述活動に力点を置かれていると思ったら、ソノダバンドを世に出したり、由紀さおりさんのジャズアルバムをプロデュースして全米一位になったりと、プロデューサーとしても大活躍している。そんな、僕が、なかなか追いつくことにできない先輩が書かれたのが、日本の楽曲で世界で一番売れたとわれいてる「上を向いて歩こう」の記録。非常に貴重な歴史。そして、戦後の日本の音楽(芸能)業界の草創期の様子がわかる本でもある。是非、読んで欲しい。

<関連投稿>
「同人音楽」は「Do it yourself」なのか? 〜私論の試論ですが、、、
気がつけばコンテンツと呼ばれて。~デジタル化&ソーシャル化で変わること、変わらないこと

2012年1月14日土曜日

最近観た映画『マネーボール』『モテキ』『ピアノマニア』『Pina』『ミラノ愛に生きる』『ゴーストライター』『ミッションインポッシブル』

年の瀬の慌ただしさに更新できずに、新年を迎えてしまったけど、映画評を7本。相変わらず、雑食感満載ですが。

『マネーボール』
原作はずいぶん前に読んだ。野球好きとして、アスレチックスのGMの存在は注目だ。気付いたら松井秀喜も在籍するようになった。そしたらブラッド・ピッド主演による映画化。プロデューサーも兼任。もちろん観に行きました。

投手を三振や球速では無く、与四死球の少なさで、打者を本塁打や足の速さ、肩の強さではなく、出塁率の高さで評価するという「マネーボール」理論は、原作で読んだときから、興味深かった。近年では、他チームでも採用されるようになったそうだ。アスレチックスの優位性が崩れてしまったという皮肉な話。
『メジャーリーグ』みたいな、単純明快なスポーツ映画とは全然違う。大リーグのGMやスカウトもリアルに登場するけど、基本的には、大人の男を描く人間ドラマ。含蓄のある良い映画だった。
興行的には苦戦してるみたいだけど、とてもいい映画ですよ。スポーツ映画では無く、人間ドラマだというのを宣伝的にも打ち出しせばよいのになと思った。

『モテキ』
すごく良かった!「J-popミュージカル」というキャッチコピーもあったけど、懐かしい曲をちりばめている、「反則!」と思うくらいの堂々たる盛り上げ方。大根監督とは、まだ彼が、堤幸彦さんのアシスタントだった頃に、仕事をご一緒したことがある。何かを秘めている印象は若い頃からあったけど、素晴らしく才能が開花!
ツイッターの使い方が、こんなにリアル(ピント外れで無い)のは、テレビドラマなど含めて、初めてじゃ無い?若者の生態を押さえているよね。ナタリーのTAKUYA社長は、あんな女好きじゃ無いけどね^^

ホイチョイプロダクションが、流行の真ん中にいた頃の『私をスキーに連れてって』を思い出した。2011年の東京のカルチャー&ライフを知りたければ、これを観ればいいという映画。この映画を観て、理解できない部分があれば「オジサン」という踏み絵にもなっているね。
興行的にも成功しているようだけれど、宣伝的な打ち出しで、4人の主要女優を同列に打ち出して、「美女達に翻弄されるモテキが突然きた主人公」というイメージにしたのは正解だったと思う。実際は、長澤まさみとのラブストーリーなんだけどね。前述の『マネーゲーム』は人間ドラマなのに、スポーツ映画っぽい打ち出しにして、苦戦しているのと好対照。

『ピアノマニア』
ウィーンに住む超一流、ピアノ調律師のドキュメンタリー映画。素晴らしい。ピアノが好きな人は、是非、観て欲しい。1月21日公開

ピアニストにとって、調律師というのは特別の存在だ。よほどのことが無い限り、クラシックの著名ピアニストでも、自分のツアーにピアノを持ち運ぶことは珍しい。山下洋輔さんがエッセイの中で、会場にあるピアノに「折り合いをつけなければいけない」ピアニストは、自分の楽器を偏愛する管楽器奏者やギタリストとは、違う性格が形成されると書いていた。
演奏する楽器別の性格の違いは三谷幸喜さんの舞台『オケピ』でも描かれていたのを思い出した。
この映画では、レコーディングの様子も丹念に紹介されていて、興味深い。ピアニストと調律師の会話は、別世界の話のようで、目の前で聞いていても魔法使いの言葉のような感じがする。以前、ジャズピアニストのマネージメントをしていたので、何度も立ち会っているけれど、ピアニストと調律師の関係は独特だ。でも、確かに音が変わっているのはわかる。でも、一流料理人の食事を食べても「おいしい」しか言えないように、「いい音だな」としか表現できないけど。
試写会会場のトッパンホールの音響も素晴らしかった。こういう素晴らしいホールがあるのが東京の文化力の高さだなと、改めて確認した。

『Pina〜ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』
音楽を生業にしていなければ、アート鑑賞を趣味にしていたのではないかと思う。「フィリップジャンティカンパニー」「ブルーマングループ」「山海塾」は好きです。ポピュラーミュージックを作って売るという商売をやっていると、アート作品を観ていても、なにか「盗める」ところがないか、ポップスに応用できないかと、知らず知らすに考えてしまうし、趣味とは思いづらい。ちょっと「卑しい」けど、仕方ないなぁ。

でも、ピナバウシュは、特別にリスペクトしている。人間の根源的な生命を感じさせる舞踊、そのまま凍らせて、美術館に飾りたいような美しい構図。
眼鏡を掛けて観ていると頭痛がしてくる気がして、3D映画はあまり好きじゃ無いけど、この作品は3Dでつくってくれてよかった。
日本の舞踏家、故大野一雄さんについても語られていて、故人の評価の高さを確認する。
2月24日公開。清流で心が洗われる気持になります。激オススメ

『ミラノ、愛に生きる』
大人の映画。美しさに溢れている。
名家の婦人が、息子の友人と恋に落ちるというと下世話な話のようだけれど、ミラノの名家のお屋敷でのパーティや、サンレモ郊外の風景など、うっとりするほど美しい。
食事とセックスには共通点があるというのは、文化人類学でよく語られているけれど、料理を作ること、食べることが、非常に官能的に描かれているところがすごく良かった。
以前、読んだ本で、アフリカのある民族の習慣では、未婚の男女のセックスは認められているけれど、一緒に食事をすることは禁忌とされている、と書いてあったのを思いだした。
ヨーロッパのカルチャーや絵画的な美しさを持った映画が好きな人には、強くお薦めします。年末から公開中。

『ゴーストライター』

観た映画は、ツイッターやフェイスブックだけでなく、ブログにまとめて書くのを去年から始めている。
この映画は、たまたまた書き忘れてた。
重厚で良質な映画。昨年の映画のベスト3に挙げている人が多いのもうなずける。

個人的には英国首相とその自伝のゴーストライター、そこに起きる陰謀という設定のリアリティに今ひとつ入り込めなかったけど、観る価値のある映画だと思います。

ちなみに、2011年の僕のベスト3は、
1)『ブラックスワン』
2)『マイバックページ』
3)『ゲンズブールと女達』
にしてみました。

その他の昨年観た映画はこちら。2011年は豊作だった気がする。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』


そして、年明け一本目に観た。豊島園のiMAXシアターに初めていったけど、迫力満点だね。スクリーンが大きくて、こういう映画にはぴったりだと思う。
若い頃のトムクルーズは興味なかったけど、最近は、徹底したプロ根性をリスペクトしたいと思う。これぞ、ハリウッド映画という感じの大仕掛けでスリル満点。こういう楽しみも映画の醍醐味だと思った。


今年もよい映画をたくさん観たいと思います!

2012年1月1日日曜日

独断的音楽ビジネス予測 〜2012年は目覚ましい変化なし。大変革への準備の年〜

 新年、明けましておめでとうございます。昨年の震災で、日本中が喪中みたいな年だけど、そんな時だけに、新年を迎えた喜びを分かち合いたいと思います。

2011年は、個人的にも、日本にも、国際的にも大きな事件があった年なので、いろいろなことを考えさせられた。年末から経済分析などを読み、考えてきたので、2012年予測を記しておきたい。

マクロ的には世界経済が不安定だ。ユーロは崩壊寸前の危機。ヨーロッパ経済が破綻すれば、中国に波及し、米国、日本への影響が拡大していくという世界恐慌の悪夢。これは、さすがに酷すぎるので、各国の指導者達が何とか避けると信じるしか無い。「人類を何回も殺せるくらいの爆弾があっても、核戦争が起きなかった」的な希望的観測。
いずれにしても、相対的(消去法的?)に、日本の国債と円の価値は上がるので、日本政府の財政は維持され、円高は進んでいく。
今年は世界主要国(米国・ロシア・中国等々)で選挙☞指導者交代があるので、政策的な大きな変化は起きにくい。求心力をもったリーダーが2013年にどのような変革を起こすか、おそれまでは、去年までの傾向が継続して、傷には絆創膏を貼るという感じの対応になるというのが、一般的な予測だと思う。

そんな中で日本の音楽ビジネスについて考えてみた。
ざっくり言うと、今年は、大きな変化は起きないと予測する。近年続いている傾向は続くだろう。CD売上減少、着うたの減少、スマフォ&PC配信の微増などは、環境的に変わりようが無い。ただ、ぞれぞれ緩やかな変化で、根本的な構造変化は今年は起きないと思う。
日本も早く変わるべきだと思っている僕にとっては、不本意な予測だけれど、、。

●CD売上は、前年比一割以内の減少に留まる
2011年の統計はまだ出てないけれど、震災があったのに5%程度の減に留まりそう。「ほとんどAKB48でしょ?」「同じ人が何枚も買っているんでしょ?」という声が聞こえそうだけど、本質的じゃ無くても、理由はともあれ売上が維持されれば、ビジネススキームは温存されるという道理。

●モバイル配信の変化もゆっくり進む
スマートフォンへの買い換えは進んでいくだろうから、「着うた」「着うたフル」は急激に落ちていく。ただ、去年下半期を傾向を見ていると、スマフォになっても、レコチョクやMORAで音楽を買うという習慣はある程度、残りそう。350円〜400円だった着うたフルに対して、スマフォだと1曲200円になるから、売上減は避けられないだろうけれど、DL数はそれほど落ちない気がする。

●ストリーミングサービスは本格始動しない
音楽関連の画期的なITサービスの進出は望み薄だ。
レコードビジネスは、クラウド型ストリーミング(聞き放題)サービスがメインになり、CDはアーティストとの関係性を示す記念品として残り、ダウンロードサービスは衰退する、というのが僕の基本的な認識だ。実際、ヨーロッパでは始まっている。音楽ファイルになってしまった音楽は、違法配信サイトやピアトゥーピアサービスを撲滅することが原理的に不可能な以上、ユーザーに快適な音楽再生環境を提供して、音楽制作費を回収する仕組みを確立するしか無い。
でも、残念ながら、今年は日本ではまだ始まらないだろう。
アップル社も、ダウンロード型のiTunesStoreが世界(日本を除く)のデファクトになったためか聞き放題型に切り替えることができずにいる。本命もと言うべき、Spotifyは、米国でのサービスを始めたばかりで、日本上陸は、今年は無理そうだ。
権利ホルダーの中心であるレコード会社が日本の通信会社と組んで始めるべきだと思うけれど、前述の通り、前年比9割程度が維持されれば、守りに入って、攻めに出ることは難しいだろうね(auはLISMOで聞き放題サービスを始めているけれど、聴けるのはほとんど洋楽)
ベンチャーもIT大手も含めて、主役となれる可能性のある事業者が全く見えない。今年は間に合わないと思う。

●つまり、音楽ユーザーの消費行動はまだ大きく動かないということ
ちなみに2011年のCDレンタルの売上は前年比97%程度と言われている。震災のマイナス分を考えると、むしろ微増と言えるかも知れない。TSUTAYAがポスト返却など利便性を高めたり、ゲオが映画DVDの50円レンタル(市場を壊す行為なので大至急やめさせるべきと思うけど)で集客したりして、レンタル市場は維持されている。ユーザーは、CDを借りて聴く、PCにリッピングしてiPodで聴くという消費行動は、定着していてすぐには変わりそうもない。
新しい事をすぐ試してみるいわゆるイノベーター層はともかく、音楽ユーザーのマジョリティ(多数派)は、自分でイメージできて、安心できるサービスしか取り入れない。

日本が足踏みしている間に、欧米ではサービスが進化する。焦る気持ちもあるけれど、視点を変えれば、欧米のサービス状況を吟味して、日本流サービスを考える時間があるとも言える。この時間差を無駄にしないで、しっかり準備したい。
日本市場は、定着し始めると早いという特徴もある。2013年か14年か、一気に、ストリーミングサービスが広がる可能性は高いと僕は思っている。

そんな2012年は、音楽ビジネスは「準備の年」になる。ポイントは3つ。
1)経済的中間層が激増するアジアを中心とした海外輸出の環境整備
2)ソーシャルメディアを活用したプロモーションおよびマネタイズの研究
3)異業種との組み合わせ、企業とユーザーのリレーションに貢献する仕組みの確立

自分自身、昨年からキャッチフレーズにしている、グローバルな視点、ソーシャルメディア活用、異業種コラボをテーマに、準備を進めておきたいと思う。

付け加えると、ライブエンターテインメントは引き続き堅調、ファンクラブ、グッズなどを加えたアーティストビジネスは、ビックアーティストを中心に微増していくという流れは暫く変わらないだろうね。

年間予測は、高名な評論家も外してばかりだ。僕の予測は、当たるも八卦、当たらぬも八卦、正月のおみくじみたいなものと笑って赦して欲しい。
今年の年末にこのブログを読み返して、自分がどんな感想を持つのか、そんな事を楽しみに、一年間頑張ろう。

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