2011年7月8日金曜日

最近観た映画『マイ・バック・ページ』 『somewhere』 『引き裂かれた女』 『悲しみのミルク』 『劇場版 神聖かまってちゃん』

映画の記録はまとめて書こうと思っていたら、随分、時間が経ってしまった。本数もたまっちゃった。
最近、ブログを読んでくれる人も増えているので、映画についても参考にしてもらえるように、できるだけ試写会か公開直ぐに観て、テンポよく書くようにしよう。


『マイ・バック・ページ』
久々に日本映画を観て、ガチンコで感動した。
全共闘の運動家(松山ケンイチ)と、新米新聞記者(妻夫木聡)が主人公だけど、学生運動には、思い入れは無い。全共闘世代には煙たい印象。若い頃は酒席とかで、下の世代として「世の中を悪くしたのはお前らなのに、なんでそんな偉そうに語るの?」て、漠然と思ってたくらい。
山下監督は、僕よりももっと若い。この映画は、ジェネレーションは関係なく、共感できる内容だと思う。過激派と呼ばれ始めた頃の運動家の底の浅さと、メディアや警察の対応など、昭和40年代前半の世相が上手に描けている。
でも、僕はこの映画は、もっと普遍的な魅力があると思う。青春という言葉だとあまりにも陳腐だけれど、誰もが持っている心の奥に疼いているほろ苦い何かを刺激してくる。泣きそうになった。正直に言うと、ちょっと泣いちゃった。
噂によると、興行的には成績がよくないらしい。おそらくはこの作品に思い入れがあるのだろう、人気と実力を兼ね備えた俳優陣が熱演している。山下監督は、前作『リンダリンダリンダ』も素晴らしかったし、最近の日本人若手監督ではピカイチだと思う。DVDでもいいから、みんなに観て欲しいな。好きな映画ほど、言葉で伝えるのは難しいんだけど、これは、マジで、絶賛です。オススメしたい。


 『somewhere』 
 以前、『Lost in translation』を観たときから思っていたんだけど、ソフィア・コッポラには、是非、ミュージッククリップを撮ってもらいたい。予算は、スゴくかかりそうだけどね^^;

 なんと言っても、コッポラの娘だから、子供の頃から超一流のクリエイターや、ハイセンスな物に囲まれていたんだろうね。映像の感覚が、「お洒落感」にあふれている。

映画の感想を男女で分けるのは不適切かもしれないけど、男的に言うと「本当に映画つくりたいの?」って疑問がある監督でもある。この映画も、全然、感動はしないし、感情移入もできないんだけど、「雰囲気が素敵」という意味では、100点。
家庭に不適合で女性にモテまくる俳優なんて、自己投影してもよいような主人公なのにね。「リアリティが無い。でも、別にリアリティなんて無くていいのかもね?」という感想です。ヒネクレタ感想でごめん。でも、多分、次作も観るよ。


『引き裂かれた女』
 すごく良かった。
フランス映画らしい「哲学的」な部分が、恋愛に上手に集約されている。
設定自体はありふれている。美しく奔放な娘が、強く求愛する大金持ちの息子よりも、親子ほど年の離れた男を愛してしまうという話。  「引き裂かれた女」のフランス語のニュアンスまではわからないけれど、このタイトルには、いろんな意味が込められているのだろうね。
主役のリュディヴィーニュサヌエが、無茶苦茶かわいい。だいぶ惚れました。


『悲しみのミルク』
何と、ペルーの映画。
「東京エスムジカ」というエスニックベースのJ-popグループを考案した位だから、欧米以外のカルチャーに興味があるんだけど、そんな僕も、さすがにペルー映画を観たのは、初めてだと思う。
観た後に、女性監督だと聞いて、ちょっと意外だった。感傷的な部分の繊細さは男性監督の感覚に思えたから。でも、よく考えたら、ペルーの迷信を信じて、「貞操を守るために、女性器に芋を入れてる娘」なんてエグイモチーフは、男じゃ無理で、女性監督じゃ無いと描けないかと、考え直した。
南米に行ったことは無いけれど、ペルーの貧しさと懸命さがよく描かれていると思う。
全体に、説明的な要素は少なくて、映画らしい映画。オススメです。


『劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ』
 この数年間で、日本の音楽業界、音楽シーンで最も話題になったのは、「神聖かまってちゃん」というバンドだ。ライブでの奇行に近い逸話の数々。ニコニコ動画等を活用したプロモーション。インディーズロックバンドとして、古さと新しさが共存しているのが魅力なんだよね?
この映画も、おそらくは監督が「かまってちゃん」のファンなんだろうなって思えて、好感が持てる。
日本のインディーズバンドには、頭脳警察や有頂天やBUCK-TICKやスターリンや、その他沢山の先達が居て、このバンドも、褒め言葉として、その系譜上に位置づけられるのだと、僕は勝手に思っている。
観客に夢を見せることができるというのが、一番大事なんだと、改めて思ったし、そう感じさせてくれた。映画のカタルシスの在り方も、良い意味でオーソドックスな古さがあった。嫌いじゃ無いよ。


そんな充実の映画ライフだった。あと、DVDで観た二つの映画
『シャネル&ストラヴィンスキー』『最後の忠臣蔵』がスゴク良かった。これもオススメです。

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