2011年7月21日木曜日

松井秀喜の通算500号を祝いつつ、思うこと。


野球選手で誰のファンかと考えると、個人的に好きという意味で野茂英雄と落合博満がいるんだけれど、思い入れを持って、見続けているという意味だと、松井秀喜が一番かもしれない。星稜高校時代には、甲子園で五打席連続敬遠されたように、高校生の中に大人が交じっているような強い「違和感」を放っていた。PL時代の清原選手も横浜の松坂投手もスゴかったけど、一見して体つきが違う「特別な存在」という意味では、松井が図抜けていたと思う。

巨人に入団してからも、特別な存在感は変わらなかった。当時の長嶋監督の熱い指導もあって、四番打者としての英才教育がされていたけど、プロ野球の世界でも、遠くからでも一見してわかる存在だった。4年目に38本のホームランを打って以降、名実共に大打者になっていった。
2003年に大リーグに行ったのは大事件だった。野茂~イチローという先駆者はいたけれど、何と言っても、松井は巨人の大看板。保守的で高圧的で、掟破りも厭わない読売巨人軍の四番打者が大リーグに行ったことの意味は大きかった。もう誰が大リーグに行っても不思議は無いことになった。そして、入団先は大リーグでも最老舗のニューヨークヤンキース。
松井の出場試合は、NHKBSで毎回の様に放送してくれたから、深夜や早朝に観ていた。松井の活躍はとても嬉しかったけど、僕の記憶に残ったのは、当時のトーレ監督に支持された勝負強いバッティングよりも、堅実な守備や懸命な走塁だった。高校時代から「特別な存在感」だった松井が、普通に「かっこいいアスリート、素晴らしい野球選手」として、そこに居た。ファンの勝手な思い入れかもしれないけど、松井が、やっと心から野球を楽しめる場が見つけたんだなと思った。

巨人の試合をテレビで観ていた時に、松井の走塁シーンなんて全然記憶にない。ホームランやタイムリーヒットを打った姿、ストライクを投げてもらえずに四球を選ぶシーンが印象に残っている。でも、大リーグでは、犠牲フライになりそうなレフトフライをホームに投げるシーンや(松井は肩も良い)、一塁ベースからライト前ヒットで三塁に走るシーン(松井は足も遅くない)を、美しく感じた。そして、松井がもっと好きになった。実際、選手からも監督からも、野球に取り組む姿勢も含めて、トータルな野球選手として愛され、尊敬されているという話を聞く。

もしかしたら、日本のプロ野球とアメリカ大リーグの違いを、一番体現してくれたのは松井秀喜なんじゃないだろうか?日本でが規格外の存在が、大リーグでは(ふつうに)すごく良い選手。集まる選手の裾野の違いが、リーグのレベルを決めるのは当然だ。同時に、日本の一流選手は、大リーグでも通用することもわかった。向き不向きのタイプはあるにせよ。
松井は、大リーグで一流選手としての実績を残し始めたときに、ファインプレーと紙一重のプレーで左手首を怪我、その後も度重なる膝の故障で、ここ数年はベストの体調で試合に臨めていない気がして、残念だし、心配だ。

ファンの期待から言うと少し遅すぎた、通算500号のホームランを、心から祝うとともに、怪我からの回復が難しいなら、日本球界への復帰も考えてほしいと思う。パリーグで、指名打者を中心にした出場にすれば、まだホームラン王を取れる可能性はあるでしょう?幸い、ライオンズのおかわり君こと中村剛也、オリックスのT-岡田、ファイターズの中田翔と、若い好敵手も居る。

数字ばかりにこだわるのは、スポーツファンとして邪道だとも自戒しつつも、やはり松井秀喜には、才能と存在感に似合った生涯記録を残してほしい。王さんの868本は難しいだろうけど、野村克也の657本超えを目指して、少なくとも門田博光の567本を抜いて歴代三位の成績は残して欲しいなぁ。

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