2012年3月3日土曜日

音楽とクラウドについて話してきました。〜日本レコード協会セミナー報告〜



先日、日本レコード協会のセミナー講師として、クラウドと音楽についてお話ししてきた。レコード会社のスタッフ向けのクローズドな会だったので、自分の備忘も兼ねて、概略を記録しておきたい。

日 時:平成 24 年 2 月 28 日(火)14:00~16:00
場 所:東京ウィメンズプラザ ホール(1F)

通常よりかなり多い200人近い申し込みがあったそうで、関係者も含めて、客席は8割位埋まっていた。昨年、ビジネス書を出版してからは、人前でお話するのも慣れてきたつもりだったけど、同業者が沢山集まって、しかも知人もいつつ、知らない人も沢山という、HomeだかAwayだか、よくわからない環境で、久しぶりに緊張した。

【テーマ】クラウドサービスが今後の音楽ビジネスに与える影響と対応策について
【ajenda】
  1. [山口講演] クラウドとは何か、クラウド型音楽サービスの紹介

全体のテーマは、協会から依頼されたままにした。自分一人で二時間という持ち時間を充実させるのは難しいと思い、ゲストをお願いした。自分の立ち位置を、来場者と同業の音楽業界視点にすることにしたので、異業種が良いと思い、NTTの中でエンタメコンテンツに詳しい伊能美和子さんをお招きした。
最初に20分一人で話した。自己紹介をした後、講師依頼を受けて驚いたのは二つの理由で、自分のような者がレコ協のセミナーで話すなんて恐れ多いということと、今頃クラウドテーマって3年遅いっていうことと二点だ。と謙虚なんだか辛口なんだかわからない導入にしたけれど、どうだったのかしら?
その後、クラウドという概念の説明を、すべてがオンライン上にあるのを雲に喩えたのはグーグルのCEOだという様な話も含めて、ごく簡単にして、常時接続環境とセットな事、「クラウド」と「ソーシャル化」がインターネットの2大キーワードだと説明した。すべての産業が再定義される時代に音楽だけが例外なのはあり得ず、むしろ音楽は時代の先端をいくべきだ、と。後半は、JRC荒川社長から許可をいただいた受け売りで、クラウド型のストリーミングサービスを3種に分け
1)オンラインデュークボックス:Spotify型
2)リコメンデッドラジオ:PANDORA型
3)ストレイジ・個人ロッカー:iCloud型
それぞれの、海外含めた現状を紹介した。
3については、著作権の解釈が悩ましい。ユーザー的には自分が買った音楽を自分のクラウドに置くのは自由にやれないのは納得できないだろう。一方で権利者側から見ると、今のiMatchのシステムだと、違法で入手した音源をクラウドに上げると高音質で手に入るという一種の「ロンダリング」機能にもなっているので、容認しにくい。
本質的には、著作権の私的複製の考え方で対応するのに無理があるので、アクセス権的な考え方で法律や慣習を作り直すしかないのだけれど、というような問題提起もして、一休み。

2. [伊能さん講演] 通信事業者からみたクラウドビジネス、音楽と技術の連携


さすがにプレゼン慣れしていて、わかりやすい説明だったと思う。通信事業者の立場からネットワークや技術などクラウドに関することをまとめてくれていた。
また、受講者全員に、NTTの副社長の方が書かれた、クラウドの教科書みたいな本『クラウドが変える世界~企業経営と社会システムの新潮流~』(宇治 則孝著/日本経済新聞出版社)をプレゼントしてくれたのもありがかった。

3. [対談部分] 新時代のクラウドサービスについて


対談部分は、トッピクスを7つ選んで、会場も巻き込んでのトークにしたかったのだけれど、実際は、客席からの意見は少なかった。
この辺の話は、またする機会もあると思うので、テーマを並べておくことにする。
「ユーザー目線で、ライフスタイルの提案と共に新しい需要を喚起するように頑張ろう!」というような方向で話をしたつもり。
質問があればお受けします。
  テーマ1 所有から利用(シェア)へ
  テーマ2 音楽を聴く環境の劣化?
  テーマ3 クラウドで広がる新たなサービス
  テーマ4 リコメンドにつながる新技術~ログからコンテクストへ~
  テーマ5 音楽とライフスタイル
  テーマ6 グローバルビジネスにつながるクラウドメディア
  テーマ7 国産音楽クラウドの必要性

配付資料には、僕が書かせて貰った『デジタルコンテンツ白書2011』音楽部分のコピーもつけた。音楽業界の活性化のために少しでも役に立てたのなら嬉しいのだけれど、、。
色んな方と近未来の音楽ビジネスについて話す場を定期的に持ちたいと思ってるので、近々何か始めようかな。

関連投稿:日本の音楽配信事情2011〜ジャーナリストや評論家に音楽ビジネスの間違った認識が多すぎる!



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