2014年3月25日火曜日

【私的ニュースTOP5】2013年世界音楽売上げは日本低迷が原因で前年比減

今週も月曜日メルマガ発行。極私的TOP5のニュースキュレーションです!

<第1位>

 世界の音楽市場は横ばいで、iTunesを中心とするダウンロード型から、Spotifyなどのストリーミング・月額課金型モデルへの移行期。そんなトレンドとはかけ離れて、ガラーケー向けサービス(着うた)の落ち込みをスマホの配信が補えないという周回遅れを走って状態の日本という構図だ。
 SXSWに行って感じたのは、音楽サービスに次のイノベーションの気配は無いということ。目立ったのは、Samsungの新音楽サービスMILKの膨大にお金を掛けたPRと、BEATS MUSICへの注目度の高さ、それと先週のTOP1に採り上げた、ニール・ヤング入魂のハイレゾ配信&デバイスのPONOだった。技術やサービスの構造に新規性は無い。
 「もうゲームのルールは決まったから、そこで戦って白黒つけようぜ」って感じなのか。トークセッションのテーマもウエアラブルやクラウドファンドや3Dプリンターなどだった。

 この状況は日本にとってはラッキーだと思う。現状の音楽デジタル市場は、欧米の周回遅れだけれど、もう一つ先に行かれたら、挽回は大変だ。悪い意味でのガラパゴスで、シュリンクする市場を内向きに守り続けるしか無くなってしまい、海外では欧米プラットフォーマのルール上でコンテンツを出すしかなくなって、主体性は持てなくなる。いわゆる負け組だ。
 今ならまだ間に合う。iTunesが広く普及しなかった日本市場は、ストリーミングへの移行がスムーズなはずだ。固定電話網が不十分な国では携帯電話の普及が早いみたいな話。
 一旦、ダウンロード配信が市場の中心になった欧米では、ストリーミングはダウンロードの代わりという位置づけになるが、パッケージ市場が健在な日本は、ストリーミングは、古くはジュークボックス、ラジオ局、カラオケといった、音楽を使ったコミュニケーションサービスの進化形と捉える方が自然だ。
 パッケージとストリーミングの両輪で日本の音楽市場が活性化すると、世界の音楽市場も上向くということだね、とこのニュースを前向きにとらえたい。
 2014年は変化の節目にしなくちゃいけないと思う。

<第2位>

 米国はミレニアム法という形で、所定の使用料を支払えば、インターネットサービスを権利者の許諾なしでやれる仕組みがあります。そこの徴収分配を担っているのが、SoundExchangeという団体だ。PANDORAやiHeartなどのインターネットラジオの収益を徴収して、レコード会社とアーティストに折半して分配している。その徴収額は5億9000万ドルという大きな金額になっているそうだ。
 日本と米国では著作権法の立て付けも、業界慣習も、ビジネススキームも違うので、全く同じ枠にはできないけれど、いわば「日本型」のSoundExchangeの役割が求められていると思います。
 内閣府の知的財産戦略本部も、音楽流通促進の方法を積極的に検討しているそうなので、、権利者の立場を守りながら、ネットで音楽がどんどん聴かれていくようになるための仕組みが、日本にもできることを期待したい。

<第3位>

 これからの日本は知財が重要な産業なのは当たり前だけれど、音楽を含む、エンタメコンテンツは大幅な輸入超過な状態だ。J-POPが外貨を稼ぐことに貢献できるように頑張り
たい。

<第4位>

 中国だけのサービスが、グローバルNo.1のFacebook並の時価総額が付きそうというところに、中国市場に対する米国資本市場の高い評価が現れている。
 これからの日本経済は中国市場抜きでは語れない。音楽ビジネスは、まだ今すぐは動きにくいけれど、ライブ市場としては既に魅力的だし、中期的には中国ビジネスを視野に入れておくことは、音楽業界にとっても必須だ。注視はしておきたい。

<第5位>

通信会社の強さを感じる。コンテンツプラットフォームとして、魅力的だ。


<圏外>

 SXSWでも、PONOの登場をアップルが脅威を感じているという話が聞かれた。「前門のSpotify、後門のPONO」で、iTunes Storeは、次のステップに進むことが求められている。iTunes Storeはデファクトスタンダードになったから、次のイノベーションに進めないという勝者のジレンマを抱えていることは間違いない。
 どういう戦略で打開を図るのかに注目したい。

<番外編>

 ピントがずれた解説に感じた。心配するべきは、メディアが政府に牛耳られることではなく、政治が大手メディアに「人質」を取られていることの気味の悪さではないか?
 どこの国にもエグゼクティブな一族は居るものだけれど、ジュニアが血筋で得する国は、社会の活力が落ちていくよね。



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2014年3月2日日曜日

Jポップ輸出が国策に、配信売上がCD上回る、日テレHulu Japanを売却される、Groovy終了など、週間TOPニュース!

<第1位>
 クールジャパン戦略の中で、Jポップも重視されてきました。昨年は、テレビ番組の
海外販売を主眼にしていたのですが、思ったほどの成果が上がっていないので、音楽に
目を向けてくれたのかもしれません。理由はともあれ、チャンスですので、音楽業界は
千載一遇のチャンスと考えて、最大限、活用すべきです。
 私も先日、内閣府知的財産戦略本部の方に呼ばれて、お話をしてきました。日本社会は
意思決定は遅いですが、方向が決まると向かいますので、音楽の輸出と、コンサートなど
を観光資源にするという考え方が「国策」になることの意味は。大きいです。Jポップを
国力向上に使うという発想を広めたいと思っています。

<第2位>
 LINEの新サービス発表は、激震と呼べる衝撃が走っていました。スタンプ販売のオープン化、電話サービスの開始など、注目すべき新機能が目白押しです、

<第3位>
 2013年は、エポックメイキングの年となったようですね。世界でシェアの4割を占める
No.1レコード会社の売上比率で、フィジカル(CD)をデジタル(配信)が上回ったというのは、象徴的な出来事だと思います。
 日本のレコード会社も時代の流れに鋭敏な対応を望みたいです。音楽配信サービスに対
する許諾は、「原則OK」という方針にするべきです。同時に、パッケージは日本の特徴、
強みであるという認識も大切だと私は考えます。

<第4位>
 このニュースは驚きました。びっくり度では、第一位かもしれませんね。これから様々な分析が出てくるかと思いますが、多様な理由、思惑が交錯した「複雑系」の意思決定による出来事だと私はとらえています。
 Hulu Japanが、順調に収益を上げていなかったことは、間違いないでしょう。ただ、
Huluは挫折というよりは、「名より実をとった」結果のように思います。
 日本のテレビ局が、配信サービスの拡充に動き始めたトレンドの中で、日本テレビ
にとっては、絶好のアピール材料だと思います。

<第5位>
 おおむね、予想通りです。着うた市場の崩壊を、スマホ配信で補えず、ストリーミング
は、まだ普及せずというのが、日本の音楽配信市場の現状であることを数値として確認
しましょう。

<圏外>  
 本気で「勝負する」というタイミングがないまま、サービスが終わってしまう印象が
ぬぐえません。DeNAからは、事前にご説明をいただたいのですが、その際のお話、数値
などを拝見すると、iPhoneアプリのアップル社許諾の失敗というのが浮き上がってきます。
 「ポイントを使って、フル試聴」というGroovyのコアの機能が、iTunes Storeを持つ、
アップル社にとって容認できなかったようですね。音楽系サービスは、アップル社の不透
明なアプリ基準との戦いが、ユーザー獲得以前にあるのだということを改めて、痛感した
出来事でした。サービス設計はよかったと思うので、とても残念です。

<番外編> 
  元総務省の中村伊知哉さんのブログから。地上波テレビをデジタル化したことによって空いた電波の帯域を何に使うかというのは、日本全体にとって大切な話ですね。
 鳴り物入りで始まった「NOTTV」が、ひいき目に見ても、成功とは言えない状況の中で、V-Lowを使ったサービスがどうなるのか、注目したいです。

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2014年2月24日月曜日

「MUSIC DISCOVERYの今」とコンテンツ白書とKKBOX AWARDとMUSIC HACK DAY

 先週は、密度の濃い1週間だった。火曜日に、GRACENOTEの新機能、楽曲のリコメンドができるデータベース「Gracenote Rhythm」の発表イベントで、トークセッシ
ョンがあった。イベントの企画段階から相談されて、キャスティングとモデレーターをやらせていただいた。
 ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。(イベントレポはこちら)

 ゲストが豪華だったので、キャスティングのOKをいただいた時点で、僕の仕事は8割方終了していた。当日は、予定調和にならないように、エンタメ感をもって進行するだけだ。パネラーの皆さんにリラックスして話してもらうように心がけたけれど、楽しんでいただけたようで、嬉しかった。今の日本のデジタル音楽について語ると、愚痴っぽくなりがちなのだけれど、この日は、ポジティブに変化への期待を語り合えたような気がする。

 Billboard Japanで、ライブハウスを運営しながら、新しいチャートをリニューアルした磯崎誠二さん。ユニバーサルミュージックのデジタル本部長で、海外の音楽業界事情に詳しい鈴木貴歩さん、iTunes Japanの立ち上げに関わり、今はSpotify Japanの野本晶さん。
左から鈴木氏、磯崎氏、TAKU氏、野本氏
自賛する訳では無いけれど、なかなか揃うことのない顔ぶれだ。華やかさも欲しいなと思って、m-floレコーディング中のTAKU TAKAHASHIさんに無理言って、参加してもらった。皆さん快く受けて下さって、本当に感謝している。

 ステージで話していて、壇上はもちろんのこと、客席も含めて、「改革の同志」が集まっているように感じて、昂揚した。会場には、企業人、アーティスト、起業家、多様な人達がいたけれど、みんな日本の音楽シーンを良くしようという思いは同じだったはずだ。「一緒に頑張ろう!」ってアジテーションしたい気分になった。

 年頭にも書いたけれど、「Change to survive」が今年のキャッチフレーズだ。日本の音楽業界は、これまでが素晴らしかったからこそ、その良さを活かすために、変わらなければならない。このままでは、音楽シーンも閉塞していってしまう、そんな危機感を持っている。

 危機感は、木曜日に別の場でも、共有できた。経産省監修「デジタルコンテンツ白書2014」の第1回編集会議。僕も4年目になるので、編集委員の皆さんとも顔なじみだ。映画、出版、コミック、アニメ、ゲームなど各分野のエキスパートが集まっている。今年の内
容について、簡単なレジュメ発表があったので、とても勉強になった。それぞれの業界で、個別のトピックスや事情の違いはあるけれど、マクロな視点だと、委員の意識は同じだった。
 日本市場は人口分布的にも長期的な上昇傾向は難しい。これまで機能していた仕組みの弊害が大きくなっている。デジタル技術をもっと活用することと、海外市場を開拓することができれば、大きな可能性があるが、このままだと、ヤバい。
 まあ、色んなメディアでも書かれている当たり前のことだけれど、全分野で共通なんだと実感できると痺れる。「既得権を再構築しないと、日本は駄目になる」。みなさんが指摘する本質はどの分野でも同じだった。「何年も前からわかっていることだけど」という枕詞も。
 雰囲気を和らげようとしたのか、福富委員長が「デジタルじゃ無いコンテンツって、もう無いよね?」って仰って、みんなで笑った。そもそも発行元はデジタルコンテンツ財団なのだけれど、数年後には、「コンテンツ白書」で良いのではということになりそうだ。

台北アリーナ概観。台湾はデジタルサイネージが進んでいる印象
 週末は、久々に台湾に飛んだ。KKBOX AWARDに招待していただいたからだ。KKBOX JAPANとPARCOのキャンペーンを監修的な立場でお手伝いしていた縁だ。いつも物腰柔らかな、KKBOX JAPAN代表でもあるKDDI八木さんの「絶対に来て下さい!」という口調から、ただ事では無いと感じて、皆勤賞を続けてきた「山口ゼミ」の講義を休ませてもらって訪台した。行ってみて、その意味はわかった。台湾で最大の音楽祭だとは、聞いていたけれど、台北アリーナが若者の熱気であふれていた。3時間半のイベントが、台湾だけで無く、アジア4ヶ国で生中継されたそうだ。アジアの音楽祭は、何度か観ているけれど、このレベルのイベントを台湾の会社、スタッフだけで破綻無く成立させていることにも失礼ながら驚いた。10年間にシンガポールで観たMTVのASIA AWARD は、欧米のスタッフが仕切っていたことを思い出した。

 日本からはPerfumeが出ていて、大人気だったのは嬉しかった。台湾のアーティストを
まとめて聞くことができて、貴重な体験だった。Jポップの影響と台湾ポップス独自の特徴が体感できて勉強になった。アジアのポップスを知ることは、Jポップを見直す事になり、発見があるので、プロデュース感覚を磨くのにも有益だ。来年も来たい。
 興味のある方は、オフィシャル映像とナタリーの紹介記事をどうぞ。
 台湾のレコ大とか紅白とかいう説明しているメディアもあったけれど、日本の何かに喩えるなら、Mステのクリスマススペシャルが一番近いのではと思った。

 翌日に、友人の紹介されたメディア業界の重鎮である台湾人から、「日本は、この20年間負け続けている」と指摘されて、耳が痛かった。早稲田大学に留学していた彼が日本に居た頃は、ソニーとパナソニックが絶頂期で、大好きなVAIOがソニー商品じゃなくなって寂しいと言っていた。負けている理由は明確で「経営層が挑戦しない、意志決定が遅い」だと。アジア各国のテレビ局の番組売買に長年携わっていた人だけに説得力があった。積極的に市場開拓をする韓国の姿勢と方法論を詳しく説明してくれた。
 「台湾人は日本人が好きだから、残念。」と、日韓の差を悔しがってくれていた。俺も微力ながら頑張るからと言って、夜市の近くの老舗屋台で、メチャクチャ旨い豚肉そぼろ飯を食べながら、今後は連携を深めようと誓いあった。

 台湾に来る前、金曜の夜には、MUSIC HACKDAYのプレパーティにも顔を出した。知り合いだらけでびっくりした。ここにも同志が集まって、みんなが若い才能の台頭に期待している。当然だ。デジタル活用と海外市場開拓にしか、日本の音楽業界の未来は無い。逆に言うと、それができれば、未来は明るい。当たり前すぎることを、改めて確認する。

 僕の本業は、新しいアーティストとヒット曲を産み出すことだから、今年こそ、成功例を示せるように頑張りたい。水面下で準備はしている。それだけではなく、ゲームのルールが再定義される時代だからこそ、どんな分野や立場でも、同じ思いの人達と連携したいし、僕にできることは、積極的に協力したい。

 日本社会は、メディア・コンテンツ業界に限らず、understoodで成立していることが沢山ある。それこそが、五輪招致で流行語になった「おもてなし」のバックグラウンドで、日本の美点でもあるのだけれど、外部の人にはわかりにくいという弱点がある。それを知らずに"思い"だけで動くと”地雷”を踏んで、物事が進まなくなる。僕は長く仕事をしていて、”地図”は、持っているので、若者や外国人にも活用してもらいたい。日本の良さを残して、再構築するというのは、そういうことだと僕は思っている。
 Change to Survive。


 そんな思いで、メルマガも地道にやっています。毎週月曜日発行。

2014年2月17日月曜日

楽天のViber買収、SBのWandoujia筆頭株主に、など。〜Weekly 極私的TOP5ニュース【無料メルマガ発行中!】

極私的トップニュースを解説付きで!

<第1位>
 ITが世界の経済を牽引する時代になっていることは間違いありません。成長期待の大きいところに資金は集まるのが資本主義の道理です。コミュニケーションのプラットホーム事業者が、グローバル経済の覇者になるのだとしたら、そのレースに参加できている数少ない日本企業として、楽天には期待したいです。日本人として、期待すべき存在ですね。
 メッセージアプリサービスとしてのViberを今のタイミングで、1000億円近くで買うことが適切かどうかは、浅学の私には判断できませんけれど、グローバルな競争に挑戦する姿勢は評価したいですね。

<第2位>
 そして、ソフトバンクも、グローバル競争に挑戦する日本企業ですね。今回も21世紀
の最大の消費市場である中国に果敢に挑んでいるというニュースだと受け止めています。
 中国の市場ルールは稚拙ですし、レベルの低いビジネスモデルも散見されますが、米国
発のグローバル企業であるアップル社やグーグル社に正面から異議申し立てをする姿勢は、
日本も見習うべき側面があると思います。
 これからの日本の強みは、「欧米ルールを上手に採り入れた最初のアジアの国」である
ことだと、私は思っています。尖閣問題などで反日を唱える中国に対して、日本人として
は反発も感じますけれど、これからの日本は「中国と折り合いを付けること」が、国際競
争社会を生き残るための必須条件です。

<第3位>
 Squareは素晴らしいビジョンを持ったサービスだと思いますが、電子決済の分野を米国
企業に牛耳られないように日本企業も頑張って欲しいです。
 ユーザー利便性の向上が、インターネット時代の最大の正義なのですが、いくつかバイ
タル(決定的な)サービスにおいて、日本人が影響力を行使できない会社が勝者になって、
他の選択肢が無くなるのは嫌だなと思います。

<第4位>
 豪華な組合せですね。LINEの急速な伸張でもわかるように、プラットホームの勝利者は、
いつどこから現れて、それまでの主役を追い落とすかわかりません。インターネットビジネ
スの草創期から活躍する2人のタッグで、どんなサービスが出てくるのか、注目したいです。

<第5位>
 「反則だなー」と思うやり方ですし、日本には当てはまらない方法論だと思いますが、
ユーザー行動が可視化される時代に、有効ですね。
 コンテンツプロデューサーとしては、こういうやり方もあり得るのだという前提を持って
仕事をしなくてはいけない時代である事は間違いありません。

<圏外>
 法廷闘争は空疎なこと多いですが、ジョークが混じると、面白いですね。日本企業にも、
こういうユーモアと余裕が欲しいと思いました。

※他にもニュースキュレーションをまとめてます。概要とバックナンバーはこちらからどうぞ。
◆音楽プロデューサー山口哲一のコンテンツビジネス・ニュース・キュレーション

2014年2月10日月曜日

【メルマガ発行中!】週間ニュースTOP5発表とか。

 無料メルマガ10号まできた。毎週、月曜日発行。前週、1週間のニュースをまとめて解説付きで紹介するという内容。
 『ソーシャル時代に音楽を売る7つの戦略』(リットーミュージック)の共著者を中心としたチームで出していた有料メルマガが1年間で終了したので、後を継ぐ形で、個人で始めた無料メルマガ。
 内容は、最初に山口の極私的TOP5ニュース。クリエイティブな映像、デザインなどの紹介コーナー、その他1週間の音楽、コンテンツビジネスに関わりがある思われるニュースやブログ記事の紹介など。僕の活動記録や情報コーナーもある。
 無料なので、是非、登録してください!
 ちなみに、本日2月10日付発行のメルマガの極私的TOP5は、下記の通り。

<第1位>
●ソニーから分離で「VAIO」の魂は失われてしまうのか


 何と言っても注目は、ソニーのPC部門の売却でしょう。輝きを失っているかつてのリーダーカンパニーが、浮上の機会になるのなら、日本人として嬉しいです。
 本田雅一さんの分析記事が参考になると思います。

<第2位>
●イタリアの音楽市場が11年ぶりにプラス成長を達成、音楽ストリーミングは3桁成長

 欧州各国の音楽市場はストリーミングサービスをきっかけに上昇をしています。日本は、
DL配信が広まらず、CD市場が健在な分、ストリーミングが広まった時の効果は大きいはず
ですね。

<第3位>
●ツイッター大ピンチ。収益のカギとなるタイムライン閲覧数が何と減少!

 タイムラインの閲覧数というのは貴重な指標ですから、ここが落ちているのは問題ですね。一方で、Twitterの影響力が落ちているという実感はありません。どのように捉えるべきなのか注目しつつ、考えていきたいと思います。

<第4位>
●GracenoteがNext Big Soundと提携、ビッグデータ活用で音楽サービス構築を支援

 ビックデータ活用では、音楽ビジネスが先陣を切るのでは無いかと思っています。ユーザーの嗜好性を分析して、ビジネスにする実験場としては、最適ですから。

<第5位>
●YouTubeが音楽業界への貢献を主張:「過去数年間で10億ドル以上を支払ってきた」

 主張したい気持ちはわかりますけれど、音楽業界への貢献というのなら、整備すべきことがたくさん残っているというのが率直な感想です。
 権利侵害に対する対策も不十分ですし、音楽産業を振興するという姿勢には見えませんね。
 ユーザーが誰でも使えるというインターネットのコンテンツプラットフォームとして、圧倒的な存在感ですが、既存の権利ホルダーにとっては、「必要悪」的な域を超えていないなと、改めて思いました。

<圏外>  
●レッチリ、スーパーボウルでのテープ演奏についてフリーの公開書簡の全文訳を掲載

 素晴らしい内容のインタビューです。いわゆる「アテブリ」に対して、メンバーが明確な
意思表明をしています。

<番外編>
●新垣氏 障害は「キャラ作り」
●佐村河内氏 記事コピー謝罪文
●彼はなぜゴーストライターを続けたのか
●より正しい物語を得た音楽はより幸せである ~佐村河内守(新垣隆)騒動について
●佐村河内守の別人作曲騒動が浮き彫りにした、「音楽」と「物語」の危うい関係

 大きなニュースになっている佐村河内守さんのスキャンダル。ゴーストライターが居たことと、耳の障害が嘘では無いかという2点が大きなポイントのようです。いくつかの記事をまとめてみました。
 事件の詳細じゃチェックできていませんし、クラシック界のトーン&マナーは正確に知らないので迂闊なことは言えませんが、メディアにスクープされた時点で、対応の仕方は他にあったのでは無いかと感じています。
 楽曲への評価は高く、彼らが価値ある存在であったことは確かです。二人の関係性が壊れていないのだとしたら、半端な善悪論でさばくのでは無く、良い作品がつくられ、売れているという事実を大切にすれば良いのにと、率直に思いました。
 障害に関して世間を騙したことは、褒められることではないですし、社会的な制裁を受けるのは当然と思いますが、そのことと作品の価値、プロデュース手法は、別のレイヤーで語られるべきと音楽を生業にする者として感じています。

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2014年1月26日日曜日

Only The Good Die Young. 〜細川健さんと土川俊司さんを悼む〜

  ここ数ヶ月 Billy Joelの「Only The Good Die Young」が耳について離れない。ふと気付くと口ずさんでいる。

 理由はわかっている、細川健さんが亡くなったからだ。63歳という年齢は、高齢化社会
になった今の日本では早すぎる。

 細川さんは音楽業界で大きな功績のある方だ。アリスのマネージャーであり、ヤングジャパングループという数々のアーティストを輩出した会社の創業者だ、
 ポリスターというレコード会社も創業された。渋谷系の総本山であるトラットリアレーベルは、ポリスターの一部門だったし、一方で二人組のアイドルWINKもいるという幅のある会社だった。
 僕は、こなかりゆというアーティストをポリスターからデビューさせてもらった。面白い作品はつくれたと思うけれど、セールス的にはお役に立てずに申し訳なかった。
 
 9年前に日本音楽制作者連盟の理事になったときに、細川さんも理事に復帰された。理事長まで務めて、勇退された方が戻ってきたのは、相当思いがあったのだろう、実際、音楽事務所やアーティスト、音楽業界に対する愛情と見識の深さには、ただただ敬服した。

 忘れられない言葉がいくつかもある「この世界で仕事をするなら、プロデューサーになるか、プロデューサーの役に立つ人になるか、どちらかになれ」という言葉も刺さった。「俺は、アリスはプロデューサーだったけれど、佐野元春に出会って、プロデューサーの役に立つ人になろうと思ったんだ」とおしゃっていて、なるほどと思った。以来、この案件は俺がプロデューサー、このプロジェクトでは**の役に立つ人、と考えながら仕事する癖が付いている。

 今週、渋谷公会堂で行われた、お別れ会は、細川さんの人柄を表すようにたくさんの方が集まった。佐野元春さんの弾き語りに涙した。アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」は、心に染みた。

 ここ数年は、お会いしてなかったけれど、昨年の突然の訃報は、ショックだった。「もう細川さんと話せないんだよね?」って、自問自答していた。この先「細川さんに相談しよう」と思いたって、それが叶わないとことを悲しく気付くことが何度もあるだろう。

 本当にBilly Joelの言うとおりだ。「善い人ばかりが、早死にする」。

 神様、そんなに天国は良いところですか?早めに呼ぶのはご褒美なんですか?残された僕らは、哀しみを抱えて立ちすくんでいます。。。

 そして、
 このエントリーを書いている時に、40代の友人の訃報を知った。昨年末の井上晃一に続く、年下の友人の死だった。土川俊司さんは、ポリドールのディレクターだった20代の頃に仕事をして以来、会社が変わっても、親しくさせてもらっていた。
 ハードな仕事ぶりはFacebookから見てとれたので、時折warningは送っていた。悩みも抱えているようだったので、一度ゆっくり話そうと言いながら、スケジュールが合わずに1年以上経っていた。新年早々に、心筋梗塞で旅立ってしまった。とても優秀なミュージックマンで、心根も優しく、人間性も素晴らしい男だった。

 1月6日、亡くなる直前のFBの書き込みを見た。

「僕にとっての人生を変えた1曲は、Hotel California。
 これを聞きながら眠ろう。おやすみ」

 

 おそらくこれが辞世の言葉だ。
 悲しすぎるし、切なすぎるけれど、音楽の近くで死んでいくのは、僕ら音楽で人生を踏み外した者たちにとっては、美しい姿なのかもしれない。せめてそうでも思わないと辛すぎる。 

 今年になって、大滝詠一さん、佐久間正英さんと尊敬する音楽家も天国に召された。 

 先輩方や、夭折した友人達の分まで、長生きしようと思うし、生きている時間を大切にしようと思う。
 合掌。

2月10日付追記:
このエントリーを書いた後に、いくつかご連絡をいただいた。ご家族の密葬で、業界内への連絡が無かった土川さんとのお別れ会をやりたいという声が強い。6月2日の彼の誕生日に何かできないかと考えている。同じ思いの方は、ご連絡ください。

2014年1月9日木曜日

LINE MUSICに期待すること

 ドリルスピンから依頼をいただいて「音楽ストリーミングサービス」についてコラムを書いた。紙幅の都合と、全体の流れで割愛してしまったけれど、LINE MUSICについては、ラブコールと独断予測を追加しておきたくなった。

 LINEが予告している音楽サービスLINE MUSICには、大いに期待している。友人は何人か関わっているようだけれど、僕自身は何の情報も持っていないし、サービスの内容は一切発表されていないので、以下は勝手な予測と期待だ。

 言うまでも無く、LINEは近年で最も伸びたコミュニケーションプラットフォームだ。特に10代をはじめとした若年層には圧倒的な支持を得た。始まった時は、「ポストペット+Skype」だなと思って見ていたけれど、(スタンプはモモちゃん!)経営陣のビジョンが功を奏したようだ。海外含めて、爆発的にユーザー数を増やしている。


 普通に考えれば、LINE MUSICは、一言で言えば「音楽版スタンプ」を目指しているはずだ。つまり、ユーザーのコミュニケーションを誘発するツールとして楽曲を使うということ。これはどんなものになるのだろう?浅学の僕には具体像は想像できないけれど、これまで体験したことの無い種類の音楽サービスになるはずだ。

 音楽をつくっている立場からは、「音楽をそんな使い方するのかよ!」って、突っ込みたくようなサービス設計かもしれない。寂しい思いをさせられるかなとも思う。
 一方で、若年層から支持されれば、今のLINEなら爆発的な普及の可能性がある。CDを再生する機器を持ってないような層に音楽を聴かせるという役割を果たしてくれるだろう。結果、音楽業界全体にも利益をもたらしてくれることだろう。

 歴史を振り返れば、カラオケも着メロも、音楽業界の外で産まれ、広まったサービスだ。ユーザーから支持されて、新たなカテゴリーがつくられた。着メロの発展系である着うたが、レコード業界に大きな収益をもたらしたのは、記憶に新しい。LINE MUSICにもそういう役割を期待したい。僕は「音楽へのリスペクトが感じられない」と寂しい気持ちを抱えたとしても、自分の作品のプロモーションと収益化への可能性を模索するつもりだ。
 
 もし、LINE MUSICが”普通の”音楽ストリーミングサービスだったら、失敗すると予測しておく。

 僕も含めて、音楽業界の人間は、音楽は素晴らしく、音楽自体にこそに価値があると信じている。一曲との出会いが人生を変えることもあるのも知っている。アーティストとスタッフが精魂込めてつくった作品は、きちんとしたコンディションで受け止めて欲しいと願っている。それが、時に、独善的に、「こう聴くべきだ」という発想に繋がってしまうことがある。
 本来、音楽の楽しみ方は、時代や世代やその人の嗜好によって、それぞれ自由であるべきなのに、デジタルの進化に、日本の音楽業界は乗り遅れ気味だ。レコード会社が音楽配信用ファイルの置き場所を「自社サーバーに限る」というルールにして、頑なに守っているのは、象徴的だ。大切な作品のマスターは、目の届くところで、きちんと管理したいという気持ちは痛いほどわかるし、ありがたいけれど、経済的合理性や災害対策などを考えても、滑稽なことになってしまっている。

 そんな音楽業界の感覚を尊重してサービスを設計しても、見たことが無いような新しいものは出てこない。LINEは「若い子にバズらせる」ことだけを目指してサービスを考えて、音楽業界の人に嫌がられて欲しい。

 音楽業界に気を遣って、普通のストリーミングサービスにしてしまうと、ユーザーが反応せず、LINE MUSICは来年の今頃には、サービスが終わっているかもしれない。

 そうでなくてもITサービスをやる人達の判断は早い。業種ごとに価値観も目的も違うから、彼らのやり方を批判するつもりは無いけれど、アーティストマネージメントなんて、成果が出るのに3年〜5年掛かる商売を長年やってきた者から見ると、見切りの早さには怖さを感じる。まあ「一度信じた才能を粘って売る」というマネージャー的な感覚は、ネットの世界では通用しないのだろうけれど。

 最近でも、DeNAが鳴り物入りではじめたGroovyは、「着うたユーザーにとっての後継サービス」として、よく考えられたサービス設計だと思ったけれど、本気で勝負を掛けないうちに諦めた、という印象で、残念に思っている。
 (そういう意味ではKDDIが行うKKBOXは、簡単にはやめることはないだろうから応援したいと思う。)

 万が一、LINE MUSICが、"普通"のストリーミングサービスで、そのサービスが成功したら、「読みが甘くてすいません」と頭をかきながら、「音楽の力だね」と喜びたい。

 つまり、この予測は、どちらに転んでも喜べる予測なので、今のうちに書いておきたかった^^


 このアンビバレント(両義性)な気持、伝わるかな?

 LINEが音楽をどう捉えるか、注目してサービス開始を待ちたい。