先日、エミューの会という、出版業界のデジタル担当者の私的勉強会のスピーカーをやらせていただきました。その時、お話した内容が評判がよかったので、何回かに分けて、このblogで紹介しようと思います。
まず、最初に質問です。以下の文章にYes/Noで答えてください。
<Q1>日本は世界一のCD大国である?
どう思いますか?
こちらの表をご覧ください。
2009年に、日本はアメリカを抜いて、世界一のCD売上を持つ国になりました。日本もピークの半分以下に落ちているのですが、欧米の落ち込みはもっと壊滅的で、昨年、逆転しました。円高の影響も多少あるのですが、この傾向は今年も進んでいるので、しばらくの間、日本の首位の座は揺らがないようです。この事実を、「日本人はパッケージ好きだから」と好意的にとらえるか、「時代にどんどん遅れていっている」とネガティブに考えるかは、意見のわかれるところでしょうね。もうCD専門のチェーン店(タワーやTSUTAYA)は、大まかに言うと、日本にしかありません。
<Q2>日本ではiTUNES MUSIC STOREは失敗している?
これも意外に思う方が多いと思いますが、YESです。日本におけるiTMSのシェアは2%以下です。(PC配信の中では6割程度のシェア)この表は、2008年のデータですが、そんなに大きな変化は起きていません。
配信だけでも5%程度しかありません。アメリカでは2010年四半期でiTUNESのシェアが70%を超えたとの情報もありましたので、大きな違いです。日本の音楽配信は、9割弱が携帯電話によるものなのです。
ただ、iTMSが失敗していることは、アップル社の日本における敗北は意味しません。コンテンツを利用して、ハードを売って儲けるという、ビジネスモデルは、コンテンツプロデューサーにとっては、屈辱的と言うべきかなというのは、私の見解です。
iTMSが普及しない理由は、日本にしかないCDレンタルがあるのが大きな理由だと言われています。25年前に、日本にしかない「貸与権」という権利が法律で認められてしまったのですが、
レコードからCDに商材が変わったときに、手を打てなかったのは、音楽業界の大失敗でした。そのことが結果的にiTMSの存在を下げているとすると、何がよかったか悪かったかの判断は、なかなか微妙だなと、率直に思います。
前回のblogで佐々木俊尚さんの「電子書籍の衝撃」の音楽業界の引用が間違っているという指摘をさせていただきましたが、何となく正しいと思っていることでも、ちゃんと確認してみると間違っていることはあるものです。常識だと思っていることもちゃんと疑ってみましょうという問いかけでした。
次回から本題に入ります。
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