2010年11月22日月曜日

電子書籍は音楽配信の夢を見るか(2)

前回の続きです。

●出版ビジネスはデジタルに"のびしろ"がある!?
まずは、この図表から。


デジタルコンテンツ財団がまとめたデジタルコンテンツ白書からの引用です。
コンテンツ全体では、音楽の3.7倍ある出版業界の売上が、デジタルだと98%しかないですね。
この白書における各ジャンルの定義がどうなっているのか、細かく吟味はできていないのですが、大まかに言って、出版業界はデジタル化に、売上増大の可能性があるということは言えるでは無いでしょうか?

●出版市場も右肩下がり!?


業界外の私が指摘するのも、お釈迦様に説法という感じで恥ずかしいのですが、
こんなことなんですね。

そこで、音楽業界と出版業界を1980年を100として比較する表をつくってみました。
●出版業界と音楽業界は相似形!?


全体的な傾向は同じだけれど、CD売上の落ち込みのほうが早く、激しいですね。2008年の時点で28年前の水準まで落ちてしまっています。

●多様な収入源がある音楽ビジネス
但し、業界の比較ということで言うと、この比較だけでは不十分です。
音楽ビジネスは、多様な収益源があるのです。
アーティストマネージメント(音楽事務所)の視点で見ると、収益源は、
・CD売上⇒原盤印税、アーティスト印税、プロモーション印税等
・配信売上⇒原盤印税、アーティスト印税、プロモーション印税等
・著作権(楽曲)印税⇒放送二次使用料、カラオケ使用料等々
・コンサート興行売上
・ファンクラブ(モバイルFC含む)
・マーチャンダイジング
・TV出演料、CM契約料
などがあり、アーティストのタイプや事務所のカラーにもよりますが、
一定以上の規模になると、CDや配信からの売上は、2~3割程度が多いのではないでしょうか?
個別の説明をしだすときりが無いので、割愛しますが、ご興味のある方は、ご質問いただければお答えします。
アーティストを核とした、音楽ビジネスには、多様な収益方法が確立されていることが、
出版業界と音楽業界の大きな違いであるということは言えると思います。

●コンサート売上、著作権使用料は堅調ないし微増している
参考までに、JASRAC使用料とコンサートに関する指標を上げておきます。


CD以外の売上は、まだ増加率は高くないですが、増え続けているのが現状です。これらにも多様な問題があり、安穏とできる状況ではないのですが、とりあえず、まだ落ち始めてはいないという事はおさえるべきポイントでしょう。

ちなみに、すこし余談になりますが、音楽業界の周辺にもビジネスがあります。古くはカラオケ産業、着メロ等のモバイル産業、楽器販売、音楽スタジオレンタル、CDレンタルなどがあげられます。音楽業界は、周辺にビジネスチャンスを生みながら、成長してきていると思います。着メロもカラオケも、音楽業界の出自とは無関係の会社が始めて、大きな利益をあげてきました。もしかしたら、音楽業界内でもっと新規事業を興していくべきだったのかもしれませんが、産業とは、そういうものなのかもしれませんね。

最後にカラオケ市場の図表をあげておきます。
参加人数が微減で、売上が激減しているので、デフレの象徴みたいだなと思いました。

今日はここまで。
まだ続きます。

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