2013年3月8日金曜日

音楽とITの祭典SXSWに行ってくるだけど何か質問ある?


 明日の朝から79日でテキサス州オースティンに行く。SXSW(South By South West)に参加するためだ。行くのは4回目くらいになるけれど、何年ぶりだろう?あのハイテンションな場に身を置けると思うと、本当に楽しみだ。

 音楽イベントして始まったSXSWfilm部門に続いて、interactive部門ができたのは1998年。今や、music部門を上回る参加者数と注目度を誇っている。2007年にTwitterSXSWaward受賞をきっかけにブレイクしたことで拍車がかかったようだ。その後もfoursquaregrouponpinterestと、注目のサービスが受賞。欧米のB toC 型のIT企業の多くは、3月のSXSWで新サービスを発表している。日本のロックバンドが夏フェスへの出演を中心に、年間の活動計画を立てるように、IT企業は、3月のSXSWを意識しているようだ。
 
 1986年に始まったSXSWは、インディーズアーティストのマネージャー3人が、レコードレーベルに自分たちのアーティストをプレゼンテーションするために始めた音楽コンベンションイベントだ。
 他国とはいえ、いわば「同業者」が始めた音楽イベントが、こんなに影響力を持っているのも、僕がSXSWに思い入れを持つ理由かも知れない。
 SXSWがグローバルIT企業を後押ししているのを見ると、ITと音楽の美しい関係があるような気がする。違法サイト撲滅に注力してきた日本と彼我の差は大きいとちょっと寂しい気分にもなる。

 毎年毎年、発展を続けているSXSW。2012年は10日間で5万人の参加者と発表されていた。この時期のオースティンはホテルが満杯で、宿を確保するのだけでも大変。飛行機もフルブッキング。中には登録料をけちって、SXSW事務局に登録せず、この時期にオースティンに来て、いわば「勝手に」ライブを行うアーティストも多い。登録バッチが無くても入場できる非公式パーティも沢山行われ、約2週間、オースティンは大騒ぎだ。この街には全米有数の学生数が在籍するテキサス大学があり、近年は、大手IT企業やベンチャーもオフィスを構えるようになった。テキサス州の優遇税制も理由らしいだけど、SXSWがオースティンに与えた「町おこし」効果は、非常に大きい。

●井口さんがセカイカメラを凌駕する新サービス発表予定!

 当初は少なかったinteractive部門への日本からの参加も、ここ数年は上昇傾向。AR(拡張現実)の先駆けとして有名な「セカイカメラ」を開発した井口尊仁さんが、「SAMURAI1000」と名付けて、日本のITベンチャー1000人でSXSWに行こうと呼びかけ、日本のIT関係者にも認知が拡がった。
 その井口さんは、新会社「テレパシー」を設立、世界を驚かす新サービス・新製品をSXSWで発表するそうです。その場に立ち会うことができそうなので、今からドキドキだ。リアルタイムにレポートするから楽しみにしていてね。
 そう、SXSW2013の模様は、Twitterなどでリアルタイムに、そしてこのブログにも書くつもり。もちろん、僕が監修する「音楽人養成メルマガ」にもレポート記事を書くので、メルマガもよろしくです!!


 僕の公式な立場は、日本のアーティストを海外に紹介するサイトSYNC MUSIC JAPANの宣伝で、日本音楽制作者連盟の理事として視察だ。堅苦しいことはなく、この機会に欧米の音楽関連ITサービス企業の人たちから話を聞いて、最新情報を得たい。それに日本からの参加者同士の交流の場もつくりたい。

 井口さんからパーティのスピーチをクールに(もちろん英語で!)やれと言われていて、緊張だ。出張前は忙しくて何も準備できなかったので、飛行機の中で考えるつもり。

 クラウド化の進展で、音楽とインターネットの不幸な歴史が終わり、蜜月が訪れるというのが、僕の持論。そして2013年が、その始まりだというのが、今年の年頭の大胆予測

 その証拠を確認しに、テキサスに行ってくる。楽しみにしててね。参加する人は、連絡ください!SYNC MUSIC JAPANのブースにいます。

2013年3月3日日曜日

作曲家養成講座「山口ゼミ」前進してるよ。第二期&extended!!


 1月から始めた「山口ゼミ」2ヶ月、8日間のコースを終了した。濃い時間だった。どんな人たちが集まるのか想像もできなかったけれど、音楽に真摯な人たちが集まってくれて嬉しかった。最終日に全員に一言ずつ感想を言ってもっらって、その内容が、誠実さと気遣いがあって、柄にも無く涙腺が緩まりそうだった。その日の打上げも、コンサートツアーが成功裏に終わったときのような気持ちの良い時間だった。
 とはいえ、「山口ゼミ」を始めた目的を考えると、名曲やヒット作曲家が生まれて、初めて祝杯があげられる。山登りでいえば、まだ2合目くらい。ただ、最初の段階で、強い手応えを感じられたのは自信になった。2ヶ月間、講義を進めながら、先のことを考えていたけれど、方向は決まった。

 2ヶ月で8日間というのは、「入り口」としては、ちょうど良い気がした。あまり高いハードルにしても仕方ないし、でも、やる気が無い人に物見遊山な気分で来られても困る。今回は、僕が伝えたい「プロ作曲家になる方法」のエッセンスを凝縮して伝えることはできた気がする。8回の講義の最初と最後は、僕が一人で「心構え」や「音楽業界で守るべきルール」などをしっかり伝える。

 3回は、第一線のサウンドプロデューサーや制作ディレクターをお招きして、対談トークショーみたいな形式で、一流の人たちのバイブレーションを感じてもらうという意図。受講生は、意外に彼らの機材やモニター環境などにも興味があったようだ。浅田祐介さんは「コンペのオーダーシートなんか守らずに、それを超えて作品を出せ!」って言うし、島野聡さんにいたっては、彼が付けたその日のタイトルが「職業作家はやめなさい!」だ^^;
 二人とも超一流の音楽家であり、尊敬する友人でもあるので、突っ込んだ話ができて、僕自身も楽しかった。

 おそらく今、日本で一番たくさんアニソンをつくっている佐藤純之介さんの「音楽愛」も、受講生たちに刺さったようだ。企画の意図が伝わって、嬉しかった。「可能なら何かコンペ参加させてよ」とはお願いしてあったけど、シングル候補を2曲も募集してくれて、びっくりしつつ感謝した。簡単には通らないと思うけれど、ほぼ全員がリアルコンペに参加するという体験ができたことは今後に活きてくると思う。

 そして、肝である「コンペに勝つデモテープの作り方」が残りの3回セット。ジャニーズ系、女性アイドル、女性アーティストと3種類の「疑似コンペ」を設定して、タイアップやリリース情報なども含めて、それに合致したデモテープを短期間で作る。そして、そのデモが全員の前で聴かれて、公開添削されるというのは、かなり痺れる体験だったと思う。自分への指導もさることながら、他人のデモを聴くというのもなかなかできないことだから、参考にはなったようだ。
「副塾長みたいに頼むよ」って言ったら、ちゃんと名乗ってくれた伊藤涼さんは、本当に優秀な制作者だ。デモに対する指摘が的確で、横で聞いていて感心した。講義以外の時間もFacebooksoundCloudで発言をしてくれていて、ありがたかった。今回は8回の講義と言うよりは、2ヶ月間の濃密な時間を受講生に提供したのだと思う。ソーシャルメディアの発達は、こんな所にも寄与するんだなと改めて確認したり。

 それから、自分が新人アーティストの育成として取り組んでいたことが、ノウハウとして有用なんだという確認ができたことも、個人的には収穫だった。
 「三冠王とれなければ、プロ野球選手になる意味が無い」みたいな枷を填めて頑張ってきたから、自分が全て注いで育てて、そいつらが音楽で食えるようになっても、自分を褒めることはできなかったけど、様々な失敗を経て、傷ついた自分が、その経験を人の役に立てることができると思えたことは、自分への癒やしにもなった気がする。

 さて、今後の方向性。第二期生は、今回と同様の内容でに募集を始めた。「疑似コンペ」やリアルなコンペへの参加など、第一期の経験を踏まえて、バージョンアップさせていきたい。
 そして、第一期の受講生だけを対象に「山口ゼミextended」をやることにした。Extendedには、「延長戦」みたいな意味と、みんなの能力をもっと「伸ばしたい」という願いを込めている。半年間×月2回の講義で、毎月、コンペないし疑似コンペをやって、公開添削する。ここで鍛えて、本当にプロとして通用する音楽家を育てたい。半年後、修了生には、登録制の会員組織をつくって、コンペやトラック制作などの仕事を斡旋して上げる仕組みにしたいと思って、準備中だ。名称は、まだ仮だけどCo-Writing Farm。CWFは、プロレス団体みたいだから変えるかもしれないけれど、Co-Writingつまり共作もできるようなチームにしたい。

 プロジェクトに合わせて、何人かでソングライターユニットをつくって、得意な部分を掛け合わせて作品をつくる。日本のJ-POPは、フォークニューミュージックの系譜の上にあるから、シンガーソングライター的な世界観が重視されていて、共作のソングライターチームという発想が少なかった気がする。海外ではたくさん行われていることだ。伊藤涼さんが経験があるし、「山口ゼミ」の最終形には、そんな構想がある。もちろん一人で名曲をつくってくれるスター作曲家にも期待するけどね。

 プロ作曲家養成セミナー「山口ゼミ」、前進しています。ご期待下さい。作曲家志望の人、迷いが消えない新米作曲家は、参加してみてね!

第2期「山口ゼミ ~プロ作曲家になる方法~」

MUSICMAN-NET「山口ゼミ」開催記念 特別連載インタビュー全3回

2013年2月3日日曜日

音楽関連ニュースキュレーション 〜音楽人養成メルマガ絶賛監修中だよ〜

 昨年末から有料メールマガジンを始めた。『ソーシャル時代に音楽を"売る"7つの戦略』(リットーミュージック)という書籍の企画や、取材などをやっていて、これは継続的にやるべきだなと思ったのが動機だ。
『ソーシャル7』の共著者4人に、寄稿者も4人お願いして始めてみた。手前味噌に聞こえるかも知れないけど、内容は凄く良いと思う。コラムのレベルはヤバイくらい高い。ここから書籍化されるものは出てくるよ。毎週火曜日・月4回発行で月額630円、1号157円。ドトールのコーヒーより安いよ。今は大赤字なので、継続するためにも是非、購読をお願いします! 

 自分にとっても、役に立っているのは、1週間分の音楽ビジネス関連トピックスをまとめるキュレーションコーナーだ。自分のツイートを元にしながら、ブックマークしているブログやニュースサイトに目を通して拾う作業を毎週している。世の中の動きを「定点観測」するのは、自分の頭の整理にも役に立つ。皆さんにも活用してもらいたいです。
 参考までに紹介するね。独断寸評付きで、先週は、こんなところ。

【今週の音楽関連キュレーション】(2013年1月27日〜2月2日

●12年の文化製品輸出が2兆円に―中国
→中国は文化戦略も着々と進めてるみたい。

●英国初の「スマート・シティ」誕生へ
→スコットランド・グラスゴーの試みに注目。

●アップルストア内装に商標権、その影響は? 
→内装に商標権が認められるんだ。知らなかった。

●モバイル利用動向調査(2012年11月調査)
→スマートフォンユーザの比率は37.6%だって。まだ意外に低いと思った。他にも興味深いデータが。

●「ドラマは録画」くっきり 再生率が視聴率上回る例も - 
→感覚的には当然。CMは飛ばされるという意味なので、テレビ局と広告代理店は知られたくないデータだろうね。

●世界アプリ市場 日本・韓国牽引でGoogle Playが台頭、iOS売上では中国が6位に浮上
→androidアプリが伸びている。

●世界10都市で同時開催!「ソーシャルメディアウィーク東京2013」は2月18日から22日にかけ開催
→私も22日に代官山蔦谷書店でパネラー出演します。

●ドラマ、音楽に続く韓流ブームはこれだ!
→韓国政府が次はゲームを推している。

●必要な情報を1ヵ所でチェックできるiPadアプリに惚れた!
→一覧性が高い人気アプリ。良さそう!

●アニメーションGIFを専門にしたクールな検索エンジン『Giphy』
→画像や動画の検索は、まだ工夫の余地がありそうだよね。

●今年のグラストンベリー・フェスティバル、BBCによる史上初ライブストリーミング中継が決定!
→本メルマガ寄稿者ジェイさんのブログから。

●ブラックミュージック好きな彼氏のために聞いておきたいアーティストまとめ  
→人気が高かったnaverまとめ記事。彼氏のためだけじゃ無く、聴いておくとよいアーティストばかりですよ。

●プロの漫画家が個人出版をはじめた理由・鈴木みそ氏インタビュー
→興味深い記事。ただ率直に言って、これを読むとビジネスの仕組みが出版業界は音楽業界に比べて遅れているなと思う。音楽に置き換えたら、とっくにみんなやっていること。

●ソニー、MDプレーヤー事業終了へ 最後の機種も3月で出荷終了 
→私的録画補償金対象機器が終了という意味でもあるね。

●製造業の就業者、半世紀ぶり1千万人割る 12月労働力調査
→今更、驚くことでは無いと思う。

●20代の9割がアカウントを持っている巨大動画サービスniconicoのアニメ戦略 
→ニコニコ動画の存在感は増すばかり。アニメとの親和性は非常に高い

●現役大学生が創刊した雑誌がクオリティ高過ぎ!と話題に 
→こういう若いクリエイターがどんどん出てきて欲しいですね。

●怒れる従業員ら、経営破綻HMVの公式ツイッター乗っ取る
→CD専門のチェーン店は日本だけになるね。

●なぜこのタイミングで?:事実上の“足あと”復活――mixiの考える「ユーザーファースト」とは何か 
→最近、迷走感あるけど、根強い人気はあるし、国産SNSとして頑張って欲しい。

●ビヨンセさん「口パク」認める=記者会見では国歌を生で披露 
→ビヨンセがカッコイイと思った。

●米レコード店Amoeba Musicが埋もれた廃盤レコードをデジタル化してネット配信する事業を開始…権利者不明な音源も
→素晴らしいサービス。日本でも広まって欲しい。

●好みの楽曲を自動で配信、フェイスがインターネットラジオサービス「FaRao(ファラオ)」開始
→パーソナルリコメンド機能付き、いわゆるPANDRA型の国産ネットラジオは初。頑張って欲しい

●「iTunes Match、まだ無理かもー」の残念感はかなり大きい 
→日本では、レンタルCD業が社会的に認められてしまっている以上、アップルが権利者に見合う使用料を払うのは無理。それを調整するよりストリーミングへの移行が早い。

●レディーガガの公式YouTubeチャンネルから1億5600万回分の再生回数が削除される(英文記事)
→K-POPでもあったけど、YouTubeの再生回数が、影響力の指標になってるから、色んなことがあるね。

●KDDI∞Labo 4th MEETing、最優秀賞はソーシャルチケットサービスのtixee  
→「ソーシャルチケット」事業はニッチだけれど、伸びていて注目。

●「日本は音楽開国しアジア音楽共同体を作るべき」
→M-floのDJ TAKUさんのインタビュー。その趣旨には概ね同意。ネットでは賛否両論らしい。

●ソニー、「Music Unlimited」を月額980円に値下げ、AAC 320kbps配信も
→レコチョクもソニーも月額980円。ストリーミングはこれが相場になるのかな?諸事情鑑みて、適切な値付けと思う。

●「報道の自由度」日本53位に大幅後退 
→原発事故に関する日本のマスメディアの報道に対する世界の評価。新聞社やテレビ局は真摯に反省すべきと思う。

●国内初のデジタル輪転機、なぜ講談社は導入したのか 
→色々な意味で示唆的な記事。現状の枠組みの中でビジネスチャンスを探っている講談社の努力は地味だけど、評価すべきと思う。

●名画「モナ・リザ」の髪型を女子大生風にするとめっちゃカワイくなることが判明 
→ネットらしい、楽しい遊び。

●デジタルに生きる「懸け橋」人材
→日本のスタートアップはもっと活性化して欲しい。

●ユーチューブ、年内に有料サービス導入を模索
→注目。

●「推定販売部数は書籍が同1.7%減の6億8790万冊、雑誌が同5.8%減の18億7339万冊だった」|2012年出版物販売額、1兆7398億円に
→図書館の貸出冊数(2010年度)6億63601,108冊に近づいて来たらしい。出版業界も再構築の時期だね。

● 2/8(金)渋谷の老舗コバコThe Roomの20周年記念パーティー。沖野修也、大沢伸一、TOWA TEI、DJ KRUSH、野宮真貴、谷中敦等日本を代表するDJが100名出演し、一人一曲入魂のプレイを披露!
→日本のクラブシーンを支えてきた老舗クラブも20周年。個人的にも感無量です。

●スウェーデンのSpotifyが日本でのビジネス開発職を募集中! 
→話題を呼んでましたね。

●The Most Beautiful Record Stores in the World(英文記事)
→世界の素敵なレコード店10。日本からはタワー渋谷と代官山蔦谷書店が選ばれてます。

●「別冊カドカワ 総力特集 ニコニコ動画」1/31発売!
→注目ですね。

●世界で拡大し続ける、音楽ストリーミング・サービス最新情報 | 
→ジェイさんのコラムスピンへの寄稿記事。日本も今年は「ストリーミング元年」です!

●「スマートフォンの時代は終わる」
→元ソニーコンピュータ社長久夛良木さんのインタビュー。デバイスの高機能化が減速し、クラウド上での戦いになるというのは同感。20年くらい前からかけ声ばかりだけど、今度こそ来るのかコンテンツの時代!?

●僕らは「サード・サマー・オブ・ラブ」の時代を生きていた
→音楽ライター柴さんのブログ。メチャ興味深い考察。賛否はあるにしよ、こういう提示をしてくれるのが真の「批評」だと思う。素晴らしい。

●「知財戦略」過去10年を問い直し未来10年を探る --
慶応大学教授中村伊知哉さんのブログ、貴重な整理だと思う。

●「音源の使用許可」で爆発的に拡がった「江南スタイル」  
→注目。グーグル役員の発言は立場もあるので、多少、わりびいて捉えた方が良いけれど、新たな流れが来ているのは確か。

●MIDEMの音楽スタートアップの公式コンペ、日本から「Beatrobo」が参加
→頑張って欲しい。

●外出中にスマホで家電操作、経産省が規制緩和へ
→無駄かつ有害な規制の典型。撤廃が当然。早くやってください。

●2012年の音楽ベンチャーへの投資は34%増。昨年実績では、Sonos1.35億$、Deezer1.3億$、Spotify1億$など(英文記事)
→榎本幹朗さんのツイートから。日本でも資金が集まるような音楽サービスが出てきて欲しい!

●Appleの2012Q4売上545億$中、iTunes売上は21億$で横ばい。前年同期の17億$からは+ですがアナリスト予想に届かずの模様
http://t.co/mMmB0sTd(英文記事)
→ストリーミングへの主役交代で、世界的にダウンロード型の売上は鈍化すると思う。

そんな「音楽人養成メルマガ」。長い目で、応援をお願いします。皆さんと一緒に育てていきたいと思ってます。質問や寄稿なども大歓迎です!

2013年1月23日水曜日

作曲家志望者向け「山口ゼミ」始まる。「教えるは教わる」だね。


 今週から「山口ゼミ」が始まった。23人の受講生による8日間のコース。

 人に教えることを仕事にするのは初めてだ。何となく、「本業で仕事が無くなると専門学校で教える」みたいなイメージがあったし、自分が教師向きとは思えないので、一切、断って、やってこなかった。
 方針を変えたのは、執筆や講演の仕事もやるようなった(これもびっくりなんだけど)僕自身の変化もあるのだろうけれど、それ以上に、環境の変化が原因だ。今の音楽業界は、新人アーティスト、クリエイターを育てる「場」が少なくなってしまっている。僕自身、非常に危機感がある。以前は、メジャーデビューしてからの数年間が、プロフェッショナルのサウンドプロデューサー、作詞家作曲家育成の「場」になっていた。今はどんどん減っている。

 この辺のことは、年頭にドリススピンに書いたので、詳しくはこちらをどうぞ。


 僕もこれまでは、デモテープを送ってきたミュージシャンを選んで、こちらから声を掛けて、育成してきた。アルバイトしてた奴が年収1000万円位にするやり方は、いくつか実体験もある。(その位の段階で、勘違いや自己過信で、ワケのわからない言動をし出すような例を見たのは残念だった。お世話になった人たちに迷惑を掛けて、消えていった。そんな反省も活かしたい。「人間教育」も大切と学んだ。)
 これまで、新人アーティストをプロデュースする際には、仕事の範疇なので、もちろん、「持ち出し」でやってきた。「山口ゼミ」は、みんながお金を払って来てくれる。
 単純な比較はできないけれど、これまで、自腹でやってきたことを、ギャラをいただいてやるっていう気分もある。これまでは、こちらが選んだ人を育成したけれど、今回は、僕が選ばれて、育成をするという側面もあって、いずれにしても、不思議な気持だけれど、背筋が伸びる感じ。

 受講してくれた人たちの才能は、まだ見極められないけれど、熱意は感じている。ヒット作曲家が出てくることを後押ししたい。というのは、いわゆる「公式見解」。もちろん「ブレイク」する人が出てくることは期待も支援もするけれど、マネージメントビジネスサイドにいる僕が中心になって始めた以上、スキーム自体で新潮流をつくりたいと秘かに思っている。
 プロ野球では野村監督が、「野村再生工場」と言われていたけれど、プロの眼で発想を変えると、意外な伸びしろがあったりするものだ。「副塾長」伊藤涼さんも(作詞もするけど)策士なので、Co-Writingのユニット組成とか、これまでにない方法論に挑戦したいと思っている。
 いずれにしても、8日間のコースを一回やっただけで、簡単に結果が出ることでは無い。継続していきながら、プロフェッショナルのクリエイターを産み出す大きなファームをつくっていくのが、このプロジェクトにおける僕の目標だ。

 今年は年頭から、大言壮語が続いているけれど、1年後くらいには、誇らしげに成果を書けるように頑張りたい。
 
 伊藤涼「コンペに勝つ方法」のデモテープ公開添削の3回以外には、3人の素晴らしいゲストをお呼びしている。
浅田祐介さん、島野聡さんは、超一流のサウンドプロデューサーで、尊敬する友人だ。長く音楽シーンの第一線にいる秘訣を聞き出したい。佐藤純之介さんは、ランティスのヒット・プロリュデューサー。「年間、何曲リリースするんだよ??」ってくらい多忙を極めるレコーディングなのに、無理を言って「アニソンの現場」を語って貰うことにした。
このゲストの3回は、トークイベント的でもあるので、単発でも聴講できるようにしたので、興味のある方は、のぞきに来て下さい。

 「教えるは教わる」だと、昔から言うけれど、まさにそんな感じ。この「山口ゼミ」で、僕自身が何を学べるのか、実はその事が一番楽しみだったりする。


「山口ゼミ」について熱く語っている、伊藤涼さんとの対談が、3回に渡って、MUSICMAN-NETに掲載されてます。興味のある方はお読み下さい。
●「山口ゼミ〜プロ作曲家になる方法〜」開催記念 特別連載
 


2013年1月4日金曜日

独断的音楽ビジネス予測2013<続編> 〜ストリーミングとソーシャルメディアが主戦場になった時にアーティストとマネージャーとITベンチャーがやるべきこと〜

前回の「独断的2013予測」を読み直して、概念先行で抽象的すぎたような気がしたので、自分の実業にも引きつけつつ、もっと具体的な事を書きたいと思う。

僕は、この2年間位、ユーザーから支持される音楽サービスの在り方や、あるべき音楽業界の姿について、考え続けている。実は、正直に言うと、僕の頭の中では、ある程度、結論めいたものが、まとまってきている。
大まかな方向といくつかのあり得るシナリオ、そのためのリスクやタスクは、見えてきているんだ。問題は、その認識を踏まえて、自分が具体的に何をやるのか?抜け駆けしたいとか思わないし、そんな状況では無い。むしろ異なったレイヤーで同時進行することが必要だ。自分一人では何もできないので、こういうブログを書くことで、色んな人と繋がっていきたい。日本で音楽ストリーミングサービスが本格化するのは今秋以降だろうから、これから書くことは、2014年の予測と言うべきかもしれない。でも、準備は、今すぐ始めたい。

●ストリーミングサービスが主流になると、ヒット曲でポルシェが買えなくなる?

 前回も書いたように、僕は本気でストリーミングサービスを関連サービス含めて3000億円以上にするべきと思っている。レコード業界は、最優先で取り組むべき事はそれだろうと。
 2011年のパッケージ(CD+DVD)売上が3600億円で、2012年は微増という状況なので、ストリーミングサービスを育てれば、長期的に6000億円以上の売上が確保できる可能性がある。そうすれば、レコード業界の仕組みは、概ね維持できる。もちろん、改革して貰わないと困る部分はあるけれど、良い部分もたくさんある。産業規模として維持できる事は重要だ。

 ただ、事務所やアーティストの立場になると、微妙に違う。音源(原盤)からの売上が6000億円超というのはマクロの話で、内訳は変わってくる。Spotifyの分配などから考えると、原盤と著作権側に入ってくるお金が、ざっくり55~65%位だけど、その売上は、楽曲の再生回数で等分されるのが原則だ。これまでは、一度買ったCDやダウンロードした楽曲は、何度もユーザーに聞かれても売上にはならなかった。ストリーミングでは違う。再生回数に応じて、印税が入ってくる。この際の母数は、これまで発表されている全ての楽曲でだ。総売上が聞かれた回数で分割される。何が言いたいかと言うと、新曲でヒットを出しても、突出した印税額にはなりにくいということ。ストリーミングで聞かれることが一般化すればするほど、そうなっていく。

では何をやるべきか?

●ストリーミングサービスに付随して売れる商品開発をやろう。

新曲を発表してユーザーが気に入られた=ヒット曲とできた時に、その曲を何度も聞いてもらうだけでは、これまでほどの印税額は期待できない。もちろんCDなどのパッケージの売り上げが伸びるというのはあるだろう。もちろんやるべきだ。アーティストの姿を認識させて、パッケージ購入に結びつける努力は重要だ。

でも、それはこれまでもあったこと。僕は新たな収益をつくりたいと思う。ソーシャルゲームにおけるアイテム課金の様なイメージだ。ストリーミングサービスのプラットフォームで好きな楽曲ができたら、何度も聞いていると欲しくなる、デジタルコンテンツの「新商品」を開発したい。できればそのために大きな費用を掛けずに済むコンテンツにしたい。ジャケット用に撮った写真やライブ写真が素材になり得るだろう。UGM的なスキームも活用できるかもしれない。LINEのスタンプも参考になる。動画もありだけれど、通信環境への負荷が少なくて済む容量にしたい。さて、何がいいだろうか?

ヒントになるのは、CDの購入特典だと思う。これまで僕たちは、CD店でのイニシャル(発売日の仕入れ分)の購入促進のために、おまけを付けてきた。タワーレコード用にはこれ、TSUTAYA向けにはこちら、と、店別のユーザー特性に合わせて分けることもある。レコード会社の宣伝担当と事務所のマネージャーが知恵を絞って、購入意欲が高まるものを考えてきた。工夫の方向が似ていると思う。
●ストリーミング周辺の関連アプリ開発が重要になる

ストリーミングサービスが音楽体験のベースになると、そのプラットフォームを使ったアプリが重要になってくる。ストリーミングの代表的サービスSpotifyもアプリ戦略を積極的にやっている。
 詳しくは、この記事をどうぞ。

 最近のソーシャルメディアは、オープンID戦略をとるのは普通になったよね。初めて訪れたサイトにフェイスブックやツイッターIDでログインできることが多い。音楽ニュースをサイトで見たら、Spotifyやレコチョクなどのボタンが付いていて、自分が登録している音楽サービスを選んで、クリックすると紹介している曲がフルサイズで聴けるという状況になるのはもうすぐだ。
 様々な種類のアプリがたくさん出てくるだろう。この状況もビジネスチャンスに結びつけたい。Spotifyもツールと考えて、自分たちのアーティストの人気を高め、コンサートのチケットやアーティストグッズを売るのだ。

 ただ、できれば独自アプリをつくりたい、アーティスト主導だけでなく、ユーザーに支持されるサービスとセットで新しいアプリを提供できれば、収益が期待できる。
 アプリ開発者と音楽プロデューサーのノウハウを融合させて、ヒットアプリを出したい。
 実は音楽やアーティストに関する情報は、断絶されていて、信頼できる情報の紐付きができていない事が多い。ユーザーの嗜好性と音楽やアーティストのまつわる多様な情報を掛け合わせることで、新たな需要を喚起できるチャンスは無数に眠っているのだ。

●ソーシャルメディア上での企業とアーティストのコラボの可能性

 ネット上で音楽を自由に聴くことができるようになり、ソーシャルメディアでのコミュニケーションの比重が上がってくると、企業とユーザーの関係に、アーティストや音楽を絡めるコラボレーションの可能性が高まるはずだ。企業はユーザーと「ロング・エンゲージメント」(=長期的な信頼関係)をつくっていくのがテーマになっている。マスメディアを使って「上から目線」で商品を売るのでは無く、ユーザーから信頼されてブランド価値を上げることが重要だと広告業界でも言われるようになっている。この「ユーザーと長期的な関係をつくり、ブランド価値を上げる」は、まさにアーティストマネージメントがやってきた事だ。商品やブランドとアーティストや楽曲を組み合わせて、ユーザーと美しい三角形をつくっていくと、新たなビジネスチャンスが産まれると僕は信じている。
アメリカでは、既に始まっている。例えば、「ミュージックディラーズ」というサイトでは、12000以上のアーティストと550以上の企業が登録されていて、様々なマッチングが行われている。サイトはこちら。

 企業とアーティストのマッチングについては、「OKmusic」が、やりたいと言ってくれている。いつの間にか日本最大の音楽専門SNSとなっている「OKmusic」は、最近、フリーペーパーmusicUPSも事業譲渡で加わった。親会社は日本最大のQandAソリューションを持つ「OKWave」だ。面白い事ができそう気がしている。

●「MAKERS」発想で、新たなハード、再生プレイヤーをつくる!?

 アプリやウエブサイトだけではない、ハードにもチャンスは眠っていると思う。ライフスタイルと親和性の高い音楽は、ファション性と結びついて、
 一部で注目された缶バッチ型のプレイヤー「PLAYBUTTON」は、高すぎるパテント料のために広まらなかったけれど、商品開発としてのヒントは隠されていた。
 最近の注目書「MAKERS」によると、製造業にもデジタル技術革新の波が及び、「新産業革命」と呼ぶべき「少量多品種」の製造が可能になっているという。音楽の試聴行動を他の様々な要素と結びつける、全く新しいコンセプトの音楽再生プレイヤーに大きな可能性を感じている。一人一人に合わせて、カスタマイズできるプレイヤーなんていいんじゃない?

●ピンチはチャンス!新市場を創造しよう!

 音楽を取り巻く環境が変わって、従来の業界プレイヤーにはしんどい事も多い。業界人の末席の僕も例外では無い。ただ、ピンチはチャンスだ。新たな市場創造とビジネスのチャンスが眠っているのだ。
 音楽とITについて情報発信を続けてきたお陰で、ブログには書けないような情報も集まってきている。業界内の流れも感じる。既存のプレイヤーとの連携も重要だ。
 同じビジョンを共有できる人たちと力を合わせて早く結果を出したい。世代や既存の業界の壁を越えて、視野とノウハウとネットワークを融合することで、意外に簡単にできることもある。ある業界の非常識が、別の業界では常識というのはよくある話だ。
 このブログを読んで、ピンと来た方は、ご連絡下さい。志を同じくする人たちの連携していきたいです。

 僕は、近況を尋ねられると「ホームラン王を取りたくて野球を始めたのに、最近は、野球場の作り方とか、ストライク3つでアウトで良いと思いますか?とか、そんな事に時間を取られています」と、野球の比喩にして、苦笑しながら答えている。
 今年は、野球場増改築やルール改訂にも積極的に関与しながら、ホームラン王もとりたい!
 そんな年頭の抱負でもあるのでした(^^)/

 告知は前回と同じです。詳しくは下記をクリックしてみて下さい!

 ⇒毎週火曜日発行。絶賛監修中です。

 ⇒作曲家向けに8日間コースのセミナーをやることになりました。

⇒sensor新春スペシャル・ゲストは元SME社長の丸山茂雄さんです。お見逃し無く。

2013年1月1日火曜日

独断的音楽ビジネス予測2013 〜音楽とITの不幸な歴史が終わり、構造変化が始まる年に〜


   新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します

 昨年は、トークイベントsensorを開始、二冊目の書籍を刊行メルマガの監修NHKFM「元春レイディオ・ショー」でラジオ初出演などなど、個人活動は充実していたけど、ブログの更新は、たった14回、、反省。「ちゃんと書こう」と思いすぎると後手に回るので、フットワーク軽く更新しよう。全く個人的なブログなのでカジュアルな文体で思ったことを直裁に書きますので、ご容赦を。
 さて、元旦につき、今年の音楽ビジネス予測。経済評論家が予測的中すると話題になるくらい、予測は当たらないもの。正月だけに当たるも八卦当たらぬも八卦ということで。ただ、去年の元旦の稿を読み直したところ、いい線いっているんじゃないかなぁ?


CD売上は、前年比一割以内の減少に留まる
2012年のCD売上は前年比微増。1割以内の減少という僕の予想を超える健闘ぶり。抜本的な改善策では無いけれど、頑張って売ったのは立派と言うべきだよね。

モバイル配信の変化もゆっくり進む
⇒ゆっくりとは言えないかも。モバイル向けは約4割減、スマフォを含むインターネット配信は約3割増というのが9月までの統計。配信全体では約25%減。この傾向はガラケーからスマフォへの転換が原因なので、まだ進行していくだろう。

ストリーミングサービスは本格始動しない
Spotifyが始まらないことも含めて、これは的中。

つまり、音楽ユーザーの消費行動はまだ大きく動かない
⇒レンタルCD業も前年比微増など、この予測も当たっていると思う。
 ということで、全体的な「読み」としては、概ね外れてなかったというのが自己採点なのですが、いかがでしょ?

 ということで、今年の独断的音楽ビジネス予測
 ずばり、変革が始まる年と予測したい!

 世界情勢も今年は構造変化が起こり得る年。米国ではオバマが再選、ロシアではプーチンが大統領に復帰。中国は習近平の10年が始まることになった。韓国も大統領が替わった。安倍政権は来夏の参院選というハードルがあるけれど、暫くは日本の政治も安定しそうだ。
 特に10年に一度の政治の季節を超えた中国との今後は重要だと思う。日本の音楽事務所が中国で稼げるようになるという意味では、もう少し時間が掛かると思うけれど、コンテンツ産業振興というマクロな視点は、日本に求められる役割はあるし、チャンスはあると思う。この事は、色々考えているので、改めて書くつもり。

 さて、音楽ビジネスの2013年は、、。

パッケージ売上は現状維持。CD店をネットと連動させて活用
 昨年の売上は大物ベテランアーティストのベスト盤の貢献も大きかったから、さすがに今年も売上増というのはさすがに難しいだろう。ただ、CDを買う可能性がある層(世代)に、あの手この手で買わせる努力は今年も続くと思う。特に、日本は、他国では姿を消したCD専門チェーン店があるのが大きい。タワーレコード、ローソンHMVTSUTAYAは、親会社に大きな資本があるし、新星堂も北関東の雄ワンダーコーポレーションが買収した。それぞれの企業戦略の中で、ショップを活用していくことだろう。
ITマーケティングの世界ではO2O(オンライントゥオフライン)という言葉が流行ったけれど、まさにCD店こそO2Oの拠点として適していると僕は思う。古い規格のCD(コンパクトディスク)に固執せずに、高音質パッケージやパーソナルクラウドとの連動(買った瞬間からスマフォで聞ける)にも取り組んで欲しい。最近は、アナログ盤の人気復活の気配もある。
 また、レコード会社主導のプレイヤー販売も課題だ。今、CDプレイヤーが壊れたときに、買い換えてくれるユーザーはどれだけいるだろうか?PCでも例えば、MacBook AirCDドライブは内蔵してない。タブレットはもちろん。CDを売るにはCDプレイヤーから売る時代になっていることを自覚すべきだと思う。アニバーサリー企画でのアーティストモデルなど、ソフトを売るためのハードの販売を考える時代になっているのだ。

●ストリーミングサービスが本格開始する
 欧米で500万人以上の有料会員を抱えるSpotifyが、遂に日本サービスを始まるようだ。詳しくはここには書けないけれど、レーベルとの交渉も始まっている。サービス開始は秋になるようだけれど、新しい音楽の聴き方、楽しみ方が広まっていくことは間違いない。
着うたの覇者だったレコチョクも、まもなくストリーミングサービスを始めるようだし、異業種からの参入の噂もある。聞き放題で月額課金というビジネスモデルと、友人達と音楽を共有するという習慣が広まっていくはずだ。
 個人的には、2015年に売上3000億円の目標で取り組んで欲しいと思っている。パッケージとストリーミングはカニバルどころか、相乗効果がある。パッケージ店網が残っている間にストリーミングサービスが広まれば、日本の音楽市場が、世界に類を見ない好バランスになる期待が持てる。

●レコード会社がインターネット上に音源を解放し始める
 ストリーミングサービスが広まるには、多くの音源の許諾窓口となっているレコード会社の姿勢がポイントになる。これが変わってきた。理由は二つ。欧米でストリーミングサービスが広まるとダウンロードやパッケージの売り上げにもプラスになる統計データがでてきたこと。ユニバーサルやワーナーは親会社が欧米だから情報も早い。レコード業界全体に伝わっている。
 もう一つは、ネット界隈では不評の違法ダウンロード刑罰化の影響。あの法案が通ったことで、レコード会社の経営陣は、合法にネット上で音楽が聴ける環境を提供するという社会的な責任を負った。DRMを外したり、ソニーミュージックエンタテインメントがiTunesに楽曲を提供したりというのもその流れの一環だ。

 レコード業界は、直接契約を結んだ「特約店」でレコード〜CDを売ってきたという歴史がある。配信でもガラケー向けでは「レコチョク」は成功した。そのせいで「自分の目の届くところでだけ売りたい」と思う性癖を持っていたけれど、そろそろ方針転換をしようとしてくれているようだ。膨大なカタログをマネタイズするためにも、一定のルールに則って、許諾を幅広く出していく方向を推し進めてくれることと期待している。

コンテンツの海外輸出が本格的にはじまる
 これは、予測では無くて、希望的観測と努力目標。
 経産省が計画している「クールジャパン」ファンド800億円の使い途に注目。これまで経産省は失敗し続けているので、安倍政権の指導力に期待したい。ただ実は、方法論は難しくない。韓国がやってきたことの真似をすれば良いだけだ。
 海外のメディア枠を買い、日本と海外のギャップで生じる日本の権利者の不利益分(の一部)をまかなって、日本のコンテンツをアジアなどの新興国で流せば、間違いなく結果はついてくる。今なら、まだ日本のポップカルチャーのブランドとコンテンツ力は有効だ。
 中期的には、海外売上が国内と同等になることを目指すべきだと思う。韓国は、自国の数倍の売上を海外からあげているのだし。

 機は熟している、言い換えれば、待った無しで今年を逃すと、衰退する。音楽業界にとってそんな分岐点の年。2013年は、本当に重要な年だなと思う。楽曲がデジタルファイルに変換できるようになってから続いてきた音楽とIT技術の軋轢の歴史が終わる年。
 個人的にも、テーマに掲げてきた、ソーシャルメディア活用、グローバル、異業種コラボレーションの3つを踏まえて、具体の結果を出す年にせねばなりますまいと、誓う正月であります。
新年早々、告知件!

⇒昨年10月刊行の『ソーシャル時代に音楽を"売る"7つの戦略』(リットーミュージック)の発展形としてメールマガジンを始めました。「音楽人養成メルマガ」は、毎週火曜日発行。 監修しながら自画自賛で申し訳ないですが、毎週、面白いなと思ってます。まだの方は是非、ご購読を!

◆「山口ゼミ ~プロ作曲家になる方法~
⇒作曲家向けのセミナーをやることになりました。8日間コースの「山口ゼミ」。充実の内容と自負してます。新米作曲家や、プロ作曲家志望者の方がいらっしゃったら、薦めてください!マネージメントする気持で熱血指導するつもりです。19日に説明会あります。
 
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⇒sensor vol.6は、1月16日開催。なんと今回のゲストは、元SME社長の丸山茂雄さん。僕らにとっては、プロ野球選手が長嶋茂雄を招くような、バスケットプレイヤーがマイケル・ジョーダンと話すような、サッカー選手がペレと並んで座るような、そんな、光栄で緊張な機会です。既存の価値観を壊しながら業界のトップランナーであり続ける丸山さんのお話を聞いて、一緒に気合いを入れませんか?質問も大歓迎ですし、懇親会の時間もあります。
 ハピドラ相方のふくりゅう君も、Yahoo!個人ニュースにエンタメ分野初で選ばれるなど、コンシェルジュ業が絶好調です。
 3人と一緒にお酒を飲もうという方も歓迎!新年会ご気分でどうぞ。売切必至なのでお早めに。

2012年12月31日月曜日

今年観た映画『映画と恋とウッディアレン』『屋根裏部屋のマリアたち』『夢売るふたり』などなど

ブログを書き始めてからは、観た映画の記録は必ず残そうと決めたんだけれど、半年以上、書かないままだった。
未来の自分へのメモ(ライフログ)でもあるので、年末にまとめて記しておくことにする。
時系列思い出せないし、ランキングにするのは面倒すぎるので、順不同で。本数が多くなってしまったので手短に。

ちなみに、映画名をクリックすると公式サイトに飛びます!

『映画と恋とウッディアレン』
ウッディ・アレンは好きだ。今、「一番羨ましい人は?」って聞かれたら、迷わずこの人だと答えると思う。毎年、世界の色々な街で、好きな様に映画が撮れる。美女達に囲まれ、離婚した女優からも愛されている。そんな彼のドキュメンタリー伝記映画。
ニューヨークでスタンダップコメディをやっていた頃の逸話など、知らない話も沢山あった。ファンはマスト!

『恋のロンドン狂騒曲』
そんな、ウッディ・アレン監督の映画、バルセロナ、パリに続いて、今回はロンドン。相変わらずエスプリ感溢れて、良い感じ。恋愛も宗教も人生の悩みもいろんなものを、ちょっと小バカに茶化しながらも嫌みにならないのは、登場人物に対する愛情があるからなんだろうな。ともかく、長生きして、たくさん映画を作って欲しい。ウッディアレンが描く都市と人の姿が大好きだから。

『アーティスト』
アカデミー賞作品賞等受賞。サイレント映画が滅んで、トーキー映画に移り変わる時期の、サイレント映画のスター俳優が主人公。設定は珍しくないけれど、映画のほとんどがサイレントになっているというアプローチが秀逸。映画好きが喜ぶ映画だと思う。

『肉体と悪魔』
『アーティスト』の影響かどうかわからないけれど、最近、サイレント映画に人気が高まっているそうだ。弁士では無く、生ピアノの即興演奏付きという上映会が頻繁に行われるようになっている。豊洲で行われた上映会でのピアニスト、柳下美恵さんは、旧い友人。ソーシャルメディア上で久々に再会したら、サイレント映画のピアニストになっていた。活躍が嬉しい。この日の演奏もグレタ・カルポの美貌に似合う好演だった。
 ●柳下美恵さんツイッター:@miesilentpiano


『アリス』
変わった上映方法と言えば、目黒クラスカの「ルーフトップシネマ」にも行った。広い屋上に座って、お酒を飲みながら、大きなプロジェクターの上映を観る。一部の人には、夏の風物詩になっているらしい。気持よかった。
チェコ巨匠、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品も東欧らしくて良かった。鬼才の脳みその中を覗いた感じ。『アメリ』をもっと変態ぽくした印象。

『へルタースケルター』 
ロードショー映画も観たよ、って事で。まずは、蜷川実花監督、沢尻エリカ主演の本作。
原作の漫画が人気だから難しいかなぁと思ったけれど、予想以上に良かった。監督と主演のキャスティングが適切だったね。
興行的には、女の子も観られるって大事だよね、デートムービーとして成立していたと思う。


『アウトレイジ・ビヨンド』
北野武監督は、尊敬する日本人クリエイターの一人だけれど、怖い映画が好きじゃ無い僕は、時々見逃してしまう。前作『アウトレイジ』は観てないので、DVDで観なきゃ。続編だけれど、前作を観て無くても十分楽しめた。
やくざ映画は日本映画の伝統だね。俳優陣が好演。任侠の世界に惹かれるのは社会の縮図になっているからなんだなと改めて思った。オススメです。

『夢売るふたり』
もう一つ、オススメ邦画。西川美和監督は素晴らしい才能だね。前作『ディアドクター』も良かったけれど、本作も心理描写と映画ならではの世界観の組み方が秀逸。
ゆったりとした展開をしながら、そのまま終わらずに、最後にサプライズを用意するという構成も好き。しっかりとしたエンターテイメント感を持っている人なんだと思う。音楽もセンス良いけど。もう少しシナリオと絡んだトリッキーな要素があるといいのになと高望みな希望。いつか仕事でご一緒したい監督です。

『メリダとおそろしの森』
最近はアニメはこれしか観てないな。クオリティが高い。シナリオもよく練られていて、グローバルマーケットへの意識が高い。ディズニー4000年の歴史がノウハウとして蓄積されているなぁと今更ながら感心。
3Dは目が痛くなるから個人的には好きじゃ無いんだけれど、だんだん3Dの必然性がある表現が増えている気がする。色んな意味でもっと洗練されて、定着していくんだろうな。

『台風クラブ』
名画座って言葉はあまり聞かなくなった気がするけれど、早稲田松竹の特集は、素晴らしいと思う。さすがに二本立てを続けて観る時間を確保するのは難しくなっているけれど、相米慎二監督特集とあっては、行かねばなるまい。
本作は、1985年ATG製作って懐かしいなぁ。工藤夕貴が可愛かった。

『お引越し』
相米作品のもう一作は、初めて見た。1993年作品だって。中井貴一と桜田淳子の壊れかけた夫婦の演技が絶妙。
惜しい人をあまりにも若く亡くしたね。改めて合掌。

『屋根裏部屋のマリアたち』
ロードショーを見逃したときも早稲田松竹のお世話になる。実は、今年一番良かったのは、これかもしれないと思うくらい良かった。
フランス映画。フィリップ・ル・ゲイ監督作品は初めてだったけれど、過去作品も観てみたい。フランスらしい上品さがありつつ、軽妙なエンタメ感が心地よい。
主演のファブリス・ルキーニは、キャリア十分だけど、今作は特に存在感が良かった。ちょっと橋爪功に似ている。
そして、主演女優のナタリア・ベルベケが美しい。美し過ぎる。”ワケアリな事情を抱えて気丈に生きるメイド”というのが、日本人好みの設定なのかも知れないけど、あの透明感があってこそ、活きたシナリオだとも思う。ブログを書いているうちに、もう一度、観たくなった。

『僕たちのムッシュ・ラザール』
カナダのフランス語圏の映画。これも佳作。
モントリオールの小学校での教師と生徒の交流が描かれている。担当教師が自殺して傷ついた生徒達を教える代用教員は、アルジェリアからの移民。政治的な迫害を受けて、家族を亡くしてカナダに移り住んだという設定。重みがあるけれど、説教くさくないのが良い。