第一線の作曲家、サウンドプロデューサーをゲストにお招きするトークイベント「作曲家リレートーク」。長らく中断していけど復活した。Vol.11のゲストは島崎貴光さん、今回初対面だったけれど、とてもちゃんとした人だった。作品も緻密で、きちんとプロの仕事をしているのだけれど、事前のアンケートに対する答えも適切
で、「クリエイターは、少し社会性に欠けるところがあるもの」という僕の感覚は「人による」と付け加えて、修正しなければいけないと思わされた。島崎さんは1978年生まれ。僕から見ると完全に一つ下の世代だけれど、自己責任の意味がきちんとわかっている大人だった。
島崎貴光さんは話も上手だった。 |
「良いことは自分の手柄で、お金はもらえて当然。困ったことは、事務所やレコード会社や世間のせいにする」都合の良く考える自己中心的な音楽家も見てきただけに、とても気持よかった。島崎さんがイベントの中でも言っていたように、そういう人は結局は続けられずに、「元プロ」か「自称音楽家」になっていく。僕が世に出したアーティストの中にも、そんな風になってしまった輩がいるのは本当に残念だけれど、島崎さんみたいな人が残って活躍してくれているなら、日本の音楽界も捨てたもんじゃないなと思えて嬉しい。
トークの内容は、リットーミュージックの連載「WEB版・職業作曲家への道」に掲載されるからそちらを見て欲しい。
さて、楽屋で聞いた話。「最近のレコード会社A&Rは、ミュージシャンクレジットを出すことを嫌がる」と聞いて、心の底からびっくりした。理由は「面倒くさいから」「ジャケットのデザイン的に見栄えが悪いから」だそうだ!!!!意味がわからないよ????
日本の音楽業界に課題もたくさんあるけれど、音楽が好きな人が多くて、音楽家をリスペクトするという考え方がベースにあるのは、素晴らしいところだと僕は思っている。今のレコード会社や事務所の上層部も音楽家へのリスペクトは強くお持ちの方ばかりだ。若手のA&Rが「面倒だから」ミュージシャンクレジットを嫌がっていると聞いたら、僕の100倍激怒する業界の重鎮方の顔が目に浮かぶ。
音楽を売る側が、音楽家をリスペクトしなくなったら、音楽ビジネスは終わりだ。本当に死んでしまう。作曲家、編曲家、参加ミュージシャンなどをジャケット中面に載せるというのは、リスペクトとして最低限の当然の行為だ。音楽ファンの中には、このドラムは誰なんだろうという興味を持つような人もたくさんいる。音を聞いて「!」と思って、ジャケットを見て、「やっぱり**だ」とほくそ笑む、そんな音楽ファンを増やしていかなければいけないのに、「面倒だから載せない」とか言語道断だ。
(もし、そういう例があったら、本当に教えて下さい。日本のレコード会社は、そこまで腐っていないはずです。そのA&Rが勘違いをしているだけだと思います。考えを改めてもらいましょう。)
コーライティングを推進している立場としては、作詞作曲者がたくさんいると著作権分配が面倒だという意見も懸念だ。「日本人ならユニット名にしてまとめてほしい」と乱暴なオーダーをするA&Rもいるそうだ。ユニット名にしたからって、分配の手間は変わらないので、論理的には成り立っていないし、そもそも作曲家として名前が載ることが、どれだけ彼らの励みになるのかわかっているのだろうか?プロはどんな環境でもきちんと仕事をするのが当然だけれど、一方でクリエイティブな作業にはモチベーションは大切だ。
音楽出版社も作曲家が何人もいると分配作業が大変だなと忌避したりはしないで欲しい。国際基準で見ても、日本の音楽出版社の取り分は決して少なくない。代表出版社の矜持(プライド)として、「もちろんしっかり分配しますよ。どんどん良い曲を作ってください。」と言って欲しい。そういう意味でも、コーライティングした時の著作権料は「参加人数で等分」にするといううルールは重要だ。それ以外の変則的な分配率を出版社に押し付けるのは、作家側がやり過ぎだと思う。
工業製品が国際競争力を失いつつある日本で、日本人のクリエイティブ力というのは、貴重な資源のはずだ。コンテンツ輸出に可能性があるのは、日本のクリエイターが高いレベルにあることが前提だ。クリエイターをリスペクトして育てていくことは国策に合致している。大げさに言えば、ジャケットのミュージシャン・クレジットを面倒がるレコード会社のA&Rは、政府の方針にも反しているし、日本の国力を下げている。クリエイターに高いプロ意識を求めて、切磋琢磨していかなければならない職業だと自覚して欲しい。
そこで気になるのは、音楽配信だとクレジットが無いこと。作詞作曲編曲、参加ミュージシャン、レコーディングエンジニア、マスタリングエンジニアなどが誰でも簡単に見れるようなサイトが必要になっているのかもしれない。CDDBもそこまではフォローしていないから、WIKIPEDIA的なやり方でJポップだけでも作ることはできないだろうか?誰かやってくないかな?もちろん僕も協力します!
テクノロジーの進化で変わらなければならいこともたくさんあるけれど、パソコンがあれば誰でも簡単に音楽が作れる時代に、真のプロの高いスキルは、むしろ重要性を増している。クリエイティブが日本人の価値だと改めて声高に言っておきたい。
●ニューミドルマン養成講座第二期生募集中
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