3月9日から16日早朝にホテルを発つまでの8日間。久しぶりにSXSWに参加してきた。
SYNC MUSIC JAPANのブース。天井下に大きな日の丸が掲げられた |
音楽イベントとしてのSXSWには何度か参加して、雰囲気は知っていたし、あの活気の中からインタラクティブ部門のアワードが傑出して、世界のITサービスに大きな影響を持っていることは知識として持っていたけれど、予想を大きく上回る刺激を得ることができた。
いくつかのトレードショーのブースを一通りまわり、いくつかのパネルディスカッションを聞き、ITサービスの関係者と語って、情報で知っていたことを実感することができた。特別に目から鱗が落ちるような「発見」は無い。でもリアリティを持てたことと、パッションを感じられたことは、今後の自分にとって大きな財産になると思う。
●欧米ではクラウドもソーシャルも前提。各論と検証の段階
連日数多くのパネルディスカッションが行われた |
インターネットの発展形態としてのクラウド化や、ソーシャルメディアの隆盛は、音楽にとってポジティブであるというのは、そこにいる全員の大前提だ。その上で「この辺は、問題あるんじゃないの?」「もっと音楽家が儲けるにはどうすればよいの?」「ユーザーデータはどうやって活用するの?」みたいな事が議論されていた。
大まかに言うと、日本は3年は遅れているというのが、率直な印象。ただ、まだ誰も次のフェーズで、音楽サービスがどうなるのか、ソーシャルメディアの変化、などへのビジョンは無いようだった。今回のインタラクティブ部門のアワード受賞がcontre jourというゲーム的なサービスだったのも象徴的だ。「ソーシャルもストリーミングも一息ついている」そんな印象を持った。
これは日本にとっては幸いで、昨年以降の「ネット上にも音楽を開放していこう」というレコード業界の方針が進んでいけば、米国の状況に「追いつく」のに、そんなに時間はかからないと思う。
これは日本にとっては幸いで、昨年以降の「ネット上にも音楽を開放していこう」というレコード業界の方針が進んでいけば、米国の状況に「追いつく」のに、そんなに時間はかからないと思う。
伊藤さんも登壇したMIKUのセッション |
そのためにも、魅力的な海外の音楽サービスが、日本んでもサービスを行ってて欲しい。PANDORAもSongzaもDeezerもRdioもshazamも8tracksも来て欲しい!グローバルスタンダードとの比較は重要だ。
日本の特殊性は、「ガラパゴス化」と、ネガティブに語られることも多いけれど、洗練された日本の消費市場でグローバスサービスと比較した上で、ユーザーに選ばれたのならば、そのサービスは世界で勝てる可能性はある。
日本の特殊性は、「ガラパゴス化」と、ネガティブに語られることも多いけれど、洗練された日本の消費市場でグローバスサービスと比較した上で、ユーザーに選ばれたのならば、そのサービスは世界で勝てる可能性はある。
Spotifyはもう準備を始めているけれど、日本進出が未定のサービサーには、「今年はチャンスだよ!そろそろ日本に来ないと出遅れるよ!日本の音楽市場は魅力的だよ!」と煽ってきた。みんな興味は持っているので、やり方がわかれば勝負してくると感じた。少しでも架け橋になれればと思っている。
●音楽輸出に国家戦略が無いのは日本だけ
主会場近くに一軒家を借り切るドイツ |
期間中にSamsungの特設ステージでPrinceのライブが行われることが発表されたけど(僕が帰国する日の夜だった。残念><)、韓国がやっていることは、世界標準でいえば、特別に傑出している訳じゃ無い。普通に頑張っているだけだ。
アルゼンチンも大きなブースを出していた |
ベンチャー7社を国を挙げて推す韓国ブース |
ドイツやイギリスは、会場近くのオープンハウスを借りて、期間中ずーっとイベントをやっていた。素敵なところだった。ドイツは、POPCOMという長年やっていたイベントをリニューアルして、ベルリンミュージックウィークを始めるそうだ。オーガナイザーに会ったときに「来年はJapan Hausをやりたいよ」って言ったら、「すごく値段が高いよー」って言われた。もちろん政府の予算だそうだ。
国の存在感(プレゼンス)が、上下って、こういうことの積み重ねなんだろうなと、リアルに感じた。
●それでも、まだ日本にチャンスはある!
「Japanese Music To The World」と筆字で大書して、Hydeときゃりーぱみゅぱみゅのパネルを出していたら、駆け寄ってくる人はたくさんいた。
二つ隣のブースでは、クリプトンフューチャーメディアが初音ミクの英語版のプロモーションをして、初音ミクのイラスト付きのバッグが欲しい人が殺到。伊藤社長はパネルディスカッションにもスピーカーとして参加されていた。
人気の初音ミク英語版のプロモーションキット |
何よりGoogle Glassのライバルと言われる新製品telepathyをSXSWで発表した井口さんは凄い気合いだった。人々にテスト機を着用させ、コンセプトを熱く語っていた。
20年の歴史を持つjapan niteは人気のあるライブショーケースとして、完全に定着している。SXSWの後には、全米のライブハウスツアーを行うのも恒例で、日本人アーティストに貴重な体験の場を提供している。僕も参加したことがあるが、タフだけど、手応えが実感できる場だ。
最近は、インディーズでも確実に海外でファンを増やすバンドも多くなっている。今年はLITEとトクマルシューゴは、既にファンが付いていて、その上でオースティンに来ていた。パフォーマンスも素晴らしかった。300人の客席を満員にして、スタンディングオーベーションを呼んだインストバンドLITEのステージには感動した。
film部門にも、日本から「Sake-Bomb」が正式出品。インディーズ映画の登竜門としてもSXSWは機能しているのを感じた。以前より映画祭としてのレベルも格段に高くなっていると思う。
SXSWに限らないけれど、志を持って頑張っている日本人は各所に必ずいる。
経産省や総務省の予算規模で言うと、そんなに大きなお金が必要な訳でじゃない。ドメスティックなバランス感覚で、大手広告代理店に予算管理させるから、無駄な使い方になる。現場に汗をかいている人たちに使い方を考えてもらえば、成果はついてくる。
SXSWを契機に発展を続けるAustin |
21世紀に日本人の優位性を活かすにはコンテンツの力が重要なはずだ。J-POPが日本経済復活の先兵を担いたい。
「culture first, economy next」は、先日のSocial MediaWeekで三浦文夫さんから教わった言葉。日本の勝利の方程式となるキーワードだと微力ながら訴えていきたい。
そして、プロデューサーとして、具体的な成功事例となるアーティストや作品を作りたい。そんな、決意を新たにさせてくれた1週間だった。
そして、プロデューサーとして、具体的な成功事例となるアーティストや作品を作りたい。そんな、決意を新たにさせてくれた1週間だった。
I love Austin. I miss you. See you!
songza×conduitのパーティ会場にて |
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