2013年3月18日月曜日

オースティンで感じたこと。〜SXSW2013レポート〜


 39日から16日早朝にホテルを発つまでの8日間。久しぶりにSXSWに参加してきた。
SYNC MUSIC JAPANのブース。天井下に大きな日の丸が掲げられた

 音楽イベントとしてのSXSWには何度か参加して、雰囲気は知っていたし、あの活気の中からインタラクティブ部門のアワードが傑出して、世界のITサービスに大きな影響を持っていることは知識として持っていたけれど、予想を大きく上回る刺激を得ることができた。

 いくつかのトレードショーのブースを一通りまわり、いくつかのパネルディスカッションを聞き、ITサービスの関係者と語って、情報で知っていたことを実感することができた。特別に目から鱗が落ちるような「発見」は無い。でもリアリティを持てたことと、パッションを感じられたことは、今後の自分にとって大きな財産になると思う。

●欧米ではクラウドもソーシャルも前提。各論と検証の段階


連日数多くのパネルディスカッションが行われた
 音楽がクラウド上にあり、ユーザーがストリーミングサービスを活用し、パーソナルに推奨されるインターネットラジオを聞き、、、というのは、もう当たり前のことになっている。細かな工夫については語られていたし、サービス事業者同士の競争は熾烈なのだろう。ただ、日本で語られているような「サブスクリプション型ストリーミングサービスは根付くのか?」みたいな問題意識は無い。

 インターネットの発展形態としてのクラウド化や、ソーシャルメディアの隆盛は、音楽にとってポジティブであるというのは、そこにいる全員の大前提だ。その上で「この辺は、問題あるんじゃないの?」「もっと音楽家が儲けるにはどうすればよいの?」「ユーザーデータはどうやって活用するの?」みたいな事が議論されていた。

 大まかに言うと、日本は3年は遅れているというのが、率直な印象。ただ、まだ誰も次のフェーズで、音楽サービスがどうなるのか、ソーシャルメディアの変化、などへのビジョンは無いようだった。今回のインタラクティブ部門のアワード受賞がcontre jourというゲーム的なサービスだったのも象徴的だ。「ソーシャルもストリーミングも一息ついている」そんな印象を持った。

 これは日本にとっては幸いで、昨年以降の「ネット上にも音楽を開放していこう」というレコード業界の方針が進んでいけば、米国の状況に「追いつく」のに、そんなに時間はかからないと思う。

伊藤さんも登壇したMIKUのセッション
 追いついてしまえば、クラウド&ソーシャルを活用した日本発の音楽サービスが世界で戦うことも、まだ十分チャンスがある。個人的にはこの実感が一番の収穫だった。今世界で注目されているサービスに匹敵できる日本発のサービスが出てきて欲しい。同時に、J-POPが世界で稼げる状況をつくりたい。その思いは強くなった。
 
 そのためにも、魅力的な海外の音楽サービスが、日本んでもサービスを行ってて欲しい。PANDORAもSongzaもDeezerもRdioもshazamも8tracksも来て欲しい!グローバルスタンダードとの比較は重要だ。
 日本の特殊性は、「ガラパゴス化」と、ネガティブに語られることも多いけれど、洗練された日本の消費市場でグローバスサービスと比較した上で、ユーザーに選ばれたのならば、そのサービスは世界で勝てる可能性はある。

 Spotifyはもう準備を始めているけれど、日本進出が未定のサービサーには、「今年はチャンスだよ!そろそろ日本に来ないと出遅れるよ!日本の音楽市場は魅力的だよ!」と煽ってきた。みんな興味は持っているので、やり方がわかれば勝負してくると感じた。少しでも架け橋になれればと思っている。

音楽輸出に国家戦略が無いのは日本だけ


主会場近くに一軒家を借り切るドイツ
 今回、改めて痛感したのは、どの国も音楽輸出を本当に重要視しているということ。文化は国のアイデンティティに関わることだし、文化が知られることは、工業製品やサービスの輸出に有効だということは、世界では常識なのだろう。

 期間中にSamsungの特設ステージでPrinceのライブが行われることが発表されたけど(僕が帰国する日の夜だった。残念><)、韓国がやっていることは、世界標準でいえば、特別に傑出している訳じゃ無い。普通に頑張っているだけだ。

アルゼンチンも大きなブースを出していた
 SXSWのトレードショーのブースには、チリもスペインもカナダもオランダもあった。イギリスやシンガポールは目立っていた。韓国は、7社のITベンチャーをまとめてプッシュしていた。今年は日本もSYNC MUSIC JAPANのブースがあることで、辛うじて遜色の無いことをやれたと思うけれど、政府の予算は1円も使われていない。関係団体、企業が予算を出し合って、手弁当スタッフが運営している。今年のSXSWに参加している世界中の国で、そんな対応の政府を持つ国は、間違いなく日本だけだっただろう。
ベンチャー7社を国を挙げて推す韓国ブース

 ドイツやイギリスは、会場近くのオープンハウスを借りて、期間中ずーっとイベントをやっていた。素敵なところだった。ドイツは、POPCOMという長年やっていたイベントをリニューアルして、ベルリンミュージックウィークを始めるそうだ。オーガナイザーに会ったときに「来年はJapan Hausをやりたいよ」って言ったら、「すごく値段が高いよー」って言われた。もちろん政府の予算だそうだ。
 国の存在感(プレゼンス)が、上下って、こういうことの積み重ねなんだろうなと、リアルに感じた。

●それでも、まだ日本にチャンスはある!


きゃりーの大ファンという米国人カップル
 では、打ちひしがれたかというと、全然そんなことは無い。日本人にチャンスはあるんだなという事も同時に実感できる1週間だった。
 「Japanese Music To The World」と筆字で大書して、Hydeときゃりーぱみゅぱみゅのパネルを出していたら、駆け寄ってくる人はたくさんいた。
 二つ隣のブースでは、クリプトンフューチャーメディアが初音ミクの英語版のプロモーションをして、初音ミクのイラスト付きのバッグが欲しい人が殺到。伊藤社長はパネルディスカッションにもスピーカーとして参加されていた。
人気の初音ミク英語版のプロモーションキット

 何よりGoogle Glassのライバルと言われる新製品telepathySXSWで発表した井口さんは凄い気合いだった。人々にテスト機を着用させ、コンセプトを熱く語っていた。

 20年の歴史を持つjapan niteは人気のあるライブショーケースとして、完全に定着している。SXSWの後には、全米のライブハウスツアーを行うのも恒例で、日本人アーティストに貴重な体験の場を提供している。僕も参加したことがあるが、タフだけど、手応えが実感できる場だ。
大注目のtelepathyのデモ機。左が井口さん
 最近は、インディーズでも確実に海外でファンを増やすバンドも多くなっている。今年はLITEトクマルシューゴは、既にファンが付いていて、その上でオースティンに来ていた。パフォーマンスも素晴らしかった。300人の客席を満員にして、スタンディングオーベーションを呼んだインストバンドLITEのステージには感動した。
 film部門にも、日本から「Sake-Bomb」が正式出品。インディーズ映画の登竜門としてもSXSWは機能しているのを感じた。以前より映画祭としてのレベルも格段に高くなっていると思う。

 SXSWの日本のrepでもある麻田浩さんは、音楽業界の大先輩だけれど、60代半ばになった今でもステージで楽器を運んでいる姿には頭が下がる。長く続けていただきたい。

 SXSWに限らないけれど、志を持って頑張っている日本人は各所に必ずいる。
経産省や総務省の予算規模で言うと、そんなに大きなお金が必要な訳でじゃない。ドメスティックなバランス感覚で、大手広告代理店に予算管理させるから、無駄な使い方になる。現場に汗をかいている人たちに使い方を考えてもらえば、成果はついてくる。

SXSWを契機に発展を続けるAustin
 もう、いろんな人たちが沢山、言ってきていることだとは思うけれど、東日本大震災を経た日本は、明治維新や太平洋戦争の敗戦から立ち上がったような気概で世界で戦うことが必要だと思う。日露戦争に勝って当時の先進国入りしたことも、高度成長を実現して世界第二位の経済大国になったのも、たぶん偶然じゃ無い。
 21世紀に日本人の優位性を活かすにはコンテンツの力が重要なはずだ。J-POPが日本経済復活の先兵を担いたい。

 culture first, economy nextは、先日のSocial MediaWeekで三浦文夫さんから教わった言葉。日本の勝利の方程式となるキーワードだと微力ながら訴えていきたい。
 そして、プロデューサーとして、具体的な成功事例となるアーティストや作品を作りたい。そんな、決意を新たにさせてくれた1週間だった。

 I love Austin. I miss you. See you!

songza×conduitのパーティ会場にて

●SXSW超極私的レポをinstagramに


 スマフォで撮った下手な写真と、超パーソナルなコメントによるレポートだけど、instagramSXSW2013レポートになっている。興味のある方はこちらをどうぞ

今日は感想だけだけど、細かいまとめレポも早めににやります!

追記:とりあえず、こんなまとめつくったよ。⇒ SXSW2013からAustinの美女10人をエントリー!!

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