2013年4月2日火曜日

音楽ストリーミングサービスが通信会社やプラットフォーマーに魅力的な理由 〜retention効果とchurn対策


 SXSWに行く少し前から、音楽配信に関する英語の記事を定期的にチェックするようになって、刺激が増えた。Ziteにキーワード登録をして、スマフォでチェックするのが便利で、朝の移動時間などに、目を通すようになった。わからない単語は、そのままweb検索を掛けると、用例まですぐチェックできる。

 先週、見つけた記事が面白かった。Spotifyに次ぐ、世界第二位の音楽ストリーミングサービスDeezerCEOが、「ダウンロードの終わり」を語っている。


 数の問題では無くて、コンセプトとして終わっているのだ。5年くらい前にクラウドメールサービスのGmailが、マイクロソフトのメールソフトを殺したのと同じだ。と語っているのがわかりやすいし、興味深い。

 通信会社にとって、音楽ストリーミングサービスの価値が高いことも指摘している。
 「retention」という言葉をよく見かける。保持という意味だけれど、通信会社にとってのretentionは、キャリアを変えるのを止めるということなのだろう。プレイリストや楽曲を聴くためのコストを考えると、ストリーミングサービスを行うことは通信会社にとって、retention効果があるというのだ。
(英語堪能な方、ニュアンスが違ったら、ご指導ください。)
 Deezerの社長が言っていることだから、我田引水の部分は割り引いて捉えないといけないけれど、面白い視点だなと思った。

 一方、ユーザー数を増やしているストリーミングサービスについて、問題点を指摘する記事も出ている。


 無料の非アクティブユーザーの存在が問題だと言うのだ。
 「churn」は、辞書で引くと、攪乳(かくにゆう)器と載っている。聞いたことないなと思って調べると、ミルクをかき混ぜてバターをつくる機械のことらしい。転じて、激しくかき回すという意味になり、インターネットのおいては、頻繁にサービスを乗り換えな移り気なユーザーを表すようだ。
 もう暫くすると、日本でも、「retention」や「churn」が使われるようになるかもしれない。

 ちなみに、僕が監修しているメールマガジン「音楽人養成メルマガ」では、毎月「mothly forcast」と題したコラムを書いている。
音楽ビジネスの観点でITやインターネットトレンドワードを採り上げて、旬のニュースと結びつけてコラムを書くというのは難しくて、「自分で自分のクビを締めている」感もあるけれど、毎月、テーマを考えつつ、バズワードを選ぶのは楽しくもある。

 今月は、「retention」と「churn」を採り上げて書いた。バズワードを先取りした気分。これまで、このコラムで書いてきた5つのキーワードは下記の通りだ。

1回:O2O視点でCDショップを活用しよう
 世界では、ほぼ死滅しているCD専門の全国チェーン店というのが日本には4つ(Tower Record、ローソンHMVTSUTAYA、新星堂+WonderGoo)も残っているという観点で、Online to Offline(オンライン・トゥ・オフライン=インターネットからリアル店舗に)というキーワードから、CD店の価値を再評価した。

2回:セレンディピティ:ユーザーとの接点を増やすには?
 インターネットでユーザーに幸せな出会いをつくること=serendilityをキーワードに音楽との出会いについて考察した。

3回:常時接続で一番恩恵を受けるのは音楽ビジネスでは無いか?
 クラウド化には必要な「常時接続」always= に関するコラム。

4回:ビッグデータから音楽を考える
 ビッグデータという言葉を目にする機会が増えた。僕の視点だと、楽曲というのはメタデータの束でもあるので、まさにビッグデータって音楽デジタルビジネスのことじゃないかと思うという視点で書いた。

5回:世界のIT企業が目指すSXSWは、アーティストの
マネージャー達が始めた音楽祭なのだ!
 SXSWについて書いた時のキーワードは「interactive」。カントリーミュージックのマネージャー達が始めた音楽イベントのinteractive部門が、世界のIT業界をリードしているという事実は、何を意味するのか?

 ということで、バックナンバーも購入できますので、興味のある方は、こちらからどうぞ。豪華な寄稿者のリアルなコラムが毎週読めます。
 音楽ビジネス、コンテンツビジネスに関連するニュースのキュレーションは、毎週やってるので、応援よろしくおねがいします。

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