2013年4月6日土曜日

渋谷区は、都と警察を説得して「クラブ特区」をつくって欲しい! 〜「クラブと風営法問題」の処方箋


 渋谷区議会が請願を出したのは驚いた。何も事情は知らず、ニュース以上の情報は持っていないけれど、素晴らしいと思う。


 ただ、渋谷区が本当に、昨今の警察による「クラブ摘発」に問題を感じるのなら、東京都と警視庁と話し合って、渋谷区に限っての「クラブ特区」的な施策をやって欲しい。
 明確な基準を作って、店単位で登録をさせて、検査などの態勢も担保した上で、一定の期間は、いわゆるクラブとしての営業形態を深夜も認めるというような施策だ。実証実験と位置づけて、その間も未成年の非行率が上がらないみたいなことが証明できれば、全国の自治体、警察に対して、説得力を持つ。
 日本の社会は、「空気」も重要なので、渋谷でクラブが健全経営されたという事実が伝わることで、今の「クラブは、やっていけないのではないか?」という気分が変わるのも大事だ。タイトルなし
タイトルなし / three6ohchris

 全くの私見だけれど、この問題に処方箋を書くだけならば、そもそも、そんなに難しくないと思っている。「全国音楽クラブ組合」のような組織を作って、自主規制のルールを明文化して、警察側と交渉すれば良い。暴力団関係者と資本・経営者・営業上で無関係である事を証明し、未成年の飲酒喫煙禁止の徹底し、麻薬撲滅に協力するという姿勢を掲げるのだ。大物警察OBを顧問に迎えてもよいだろう。この「組合」の認定証を発行して、認定されているお店は、警察が「風営法の運用を考慮する」という枠組みにすれば、多くのクラブは救われる。その上で、風営法の抜本改正にゆっくりと取り組めば良い。
 問題は、このような作業は、中心となる人たちに大変な労力が掛かることだ。多くの関係者から認められるような人格者がトップに立ち、事務的な能力が高い人が仕組みを作る必要がある。そしてその人達の得る金銭的な利得は非常に小さい。(できればボランティアが望ましい。その方が合意形成させやすい。)そんな損な役回りを買って出るクラブ経営者が居ないのは、仕方ないのかもしれない。

 「Lets DANCE署名推進委員会」の運動は素晴らしい。多くの人に、この問題を知らせ、理解を深める役割を果たしている。もちろん、僕もいち早く、署名した。
 ただ、「レッツダンス」も含めた風営法改正運動が、「反権力」活動にならないように、気をつけた方が良い。本質論を語ることも大事だし、今回のクラブ摘発は、警察官僚の「日本を浄化しよう」という、ちょっと歪んだ社会正義が根底にあると思う。「体育の授業にダンスがあるのに、おかしい」という気持もわかる。でも、それをやりだすと、政治運動になってしまう。目的がクラブが安心して経営できる状態をつくることならば、むやみな「戦線拡大」は、勝算が下がるだけだ。イソップ童話の「北風と太陽」を参考に。敵視されて態度を変える人は少ないものだ。
 むしろ、東京五輪をやりたい偉い人たちに「日本のダンスミュージックは国際的にも評価さているし、開会式やパーティにDJは必要ですよ!それなのに東京にクラブがなかったら笑われますよ?そもそも招致運動に不利ですよ!」というプロパガンダの方が効くんじゃないかな?


 僕が理事を務めている社団法人の日本音楽制作者連盟のフリーペーパー「音楽主義」でも、クラブ問題をとりあげているので、興味のある人は読んで欲しい。ネットにも公開されている。そこにも登場しているけれど、音制連の副理事長の浅川さんは、m-floなどを輩出したアーティマージュという事務所の社長で、日本ダンスミュージック協会の理事長でもある。日本のダンスミュージックの草分けで、DJでもある彼は、おそらく、この問題に最も胸を痛めている一人だ。人望も厚い。彼が何か動くときは、僕も微力ながら全面的に協力するつもりだ。


 編集委員をやっている『デジタルコンテンツ白書2012』の中でもクラブ問題は採り上げた。経済産業省監修の正式な白書なので、それなりの権威があるはずだ。行政などを説得するときの材料の一つに使ってくれると嬉しい。ちょっと長いけれど、引用する。客観的に書いたつもりだけれど、僕自身の考えにも近い。

「クラブ規制問題」についても触れておきたい。
 DJプレイを中心とするクラブへの規制、摘発が社会問題となっている。深夜営業が多いため、風営法の対象となり、違法営業として警察か検挙する例が増えてきた。警察側の対応の変化の理由には、未成年の飲酒や、麻薬売買の温床となっているという判断がはたらいているようた。残念ながら一部の店で、過去に事件もあったようだが、ほとんどのクラフは深夜に未成年を入店させず、健全な経営を行っている。
 忘れてならないのか、クラフが音楽の情報発信、コミュニケーションの拠点として文化的な役割を担っていることだ。ダンスミューシックと呼はれるシャンルはDJが牽引する、グローバルな音楽シーンである。長年にわたって、J-POPの音楽的発展に大きく貢献してきている。もしも、警察の規制強化で日本からクラブが姿を消すようなことになれは、日本の音楽シーン、音楽ヒシネスに取り返しのつかない大きなタメーシがある事を再認識するべきである。
 クラブの価値を再確認して、既存の法律の運用方法も含め、社会的な合意の形成が待たれる。それには、クラフ経営者側の健全な経営と情報開示が必要であることは言うまでも無い。
〜『デジタルコンテンツ白書2012』より

 最後に、なんだか面倒くさいなと思っている人に。
 サブカルチャーは、ある種のいかがわしさとセットにあるから輝くので、同業者組合をつくって、健全さを認証されたクラブなんか行きたくないよね?俺も同感。

 こんな事を提案しているけれど、実際に、好きなクラブのエントランスに認定証が貼ってあったら、多分、げんなりする。クラブに入る時のワクワク感が冷めていくのを感じながら、「日本中からクラブが無くなるよりは、何百倍もマシだよ」と自分を慰めているだろう。

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