2012年12月2日日曜日

二冊目の著作を出版しました。 〜音楽関連ビジネス書ブックレビュー2〜


 ずぼらでおっちょこちょいな性格は小学生の頃からだけれど、二冊目の著作を出させてもらったのに、一ヶ月以上経って、自分のブログに書いてないことのは、酷すぎるね。(> <)って顔文字で誤魔化したい気分。遅ればせながらブログ更新です。
 もう、だいぶ間が抜けた告知になるけど、1025日に『ソーシャル時代に音楽を"売る"7つの戦略〜“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネスという書籍を出しました。「ソーシャル7」と呼んでね(^_-)-

 立場の違う4人による共著。共通点は音楽が好きで、音楽と関わる仕事をしていること。とはいえ、いわゆる音楽業界の内側にいるのは僕だけで、他の3人はそれぞれ、プロモーション、キャスティング、ソーシャルメディアマーケティングという専門的な能力を持って音楽業界に関わっている。僕は、EAの松本拓也さんに誘われて、共著者になった。4人で何度かミーティングをして、現状認識、将来展望など日本の音楽ビジネスに関する意見交換をした。このミーティングが、執筆よりも楽しくて、いつまでもミーティングを続けたいと思った。

 そうもいかないので、パートごとに役割分担をして、執筆作業にとりかかった。初めて体験したのが、口述筆記的なやりかた。テーマに合わせて話した内容を編集者が文章にしてくれる。それに対して訂正するというやり方なんだけれど、これが良かった。僕が音楽ビジネスについて書こうとすると、どうしても熱くなりすぎる。編集者に理解してもらって、咀嚼されるから、僕自身が書くよりも客観的でわかりやすい文章になる。気になるニュアンスは、そこから手を加えて修正すれば良い。しかも時間的な負担がなくて、本業への影響が小さい。

 作家を気取るつもりは毛頭無いけれど、一から自分で描こうとすると、まとまった集中する時間が必要だ。打合せの合間に1時間空いたからって、ちょっと書くみたいなことは難しい。ビジネスの打合せと執筆は、自分のテンションが違うから、脳みそのチューンナップは結構、大変。このやり方だと、そういう調整が無くても大丈夫。もしかしたら僕は味をしめてしまったかもしれない。

 もちろん、そんなやり方ができたのは、有能な編集者だったからだ。発刊記念イベントの時に、共著者の殿木さんが、「僕ら4人がバンドで、編集者がマネージャーみたいな関係。マネージャーが居ないと成り立たなかった」って言ってたけど、その通り!「ソーシャル7」の貢献度のMVPは、リットーミュージック山口一光さんだ。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にお世話になりました。m(__)m

「音楽人」という言葉には、従来の「業界人」ではダメだよね?音楽に携わる人みんなで、前向きに変わっていこうよ!という僕らのメッセージが込められている。
 だから、いつまでも続けていたかったミーティングは、読者も巻き込んでフェイスブックページに引き継いだ。興味のある方は、こちらからご参加下さい。
 意見交換をしたい方は、ここで参加表明してもらえれば、グループに招待します。

 そして、続編に向けて?かどうかわからないけれど、メールマガジンも始めた。既に2号出して、まもなく第3号、共著者4人以外にも素晴らしい寄稿者が協力してくれている。

 世界中で放送されたいる日本の音楽番組NHK国際放送J-MELO」プロデューサーとして海外の日本ファンと最も接している原田悦志さんが、J-MELO世界発信紀」と題して連載してくれる。

 海外の音楽サービスの紹介ブログが素晴らしい、ジェイ・コウガミさんは、「海外デジタル音楽の今」で、最新情報を伝えてくれる。

 知財系弁護士として日本一だと僕は思う、Field R 山崎卓也さんが「クラウド時代の超ラディカル著作権論」を書いてくれる。これだけでもメルマガを始めることにして良かったと思うような刺激的な連載だ。

 そして、ハッピードラゴンの相方であるふくりゅう君には、本来の職域である「ミュージック・コンシェルジュ」としてお薦めの音楽を月1回紹介してもらう。

 そんな「音楽人養成メルマガ」、購読をお願いします。はじめて三ヶ月で読者が1000人を超えなければ、休刊するという方針を課したので、良いと思ったら、友人知人にも薦めてね。

 音楽ビジネスといえば、素晴らしい本が出版されたので、紹介したい。以前書いた、「音楽関係ビジネス書ブックレビュー」の続編。

 名著。著者はインターネットで全国のラジオ局の番組がきけるプラットフォームサービスradikoの生みの親。昨年、電通をお辞めになって、関西大学の教授になられたけれど、音楽業界、メディア業界には欠かせない人だ。
 日本の音楽業界、メディア業界の表も裏もよくご存じの方で、僕も色んな事を教わっているけれど、ビジネス論だけで無く、文化論的な分析も素晴らしい。日本と韓国の音楽業界、政府の施策などを比較すると同時に、SMエンタテインメントのイ・スマンを、60年代に米国で一世風靡した「モータウン」レーベルの創始者ベリー・ゴーディや、戦後に日本の芸能界を創った渡邉晋と並べて、分析している。
 これだけ幅広く、総合的かつ俯瞰した視点で、日本の音楽ビジネスについて語った本は、他には無い。音楽に携わる人は必読。余計なことだけど、タイトルだけ惜しいと思う。書名がキャッチーならベストセラーになったかもしれないのに。
 ということで、必ず読んでください!

 「ソーシャル7」の共著者で、気鋭のソーシャルメディアマーケッター髙野修平さんによる音楽愛溢れる好著。「ソーシャル7」の第1章「ソーシャルメディアが音楽をドライブさせる」を読んで、興味を持ったら、この本を読んで掘り下げると良いと思う。
 音楽が伝播する段階として「共有」「共感」「共鳴」の三つあると説明したり、「トライブ(部族)」という概念を用いたり、参考になる考え方が説明されている。
 ソーシャルメディア上での広まり方を「ソーシャルグラフ」「ミュージックグラフ」「インタレストグラフ」「リレーショングラフ」と4つの関係性(=クアトログラフ)と解き明かしているのも興味深い。
 音楽ビジネスに携わる人は必読だよ。


 もう一人の共著者、松本拓也さんも2008年前に本を出している。
 ドラマ仕立てのミュージックビデオに人気モデルなどを登用して、ブログと連動して配信ヒットを出すという方程式をつくった仕掛け人で第一人者。関わったビデオクリップのYouTubeでの平均再生回数が100万回という驚異的な実績を誇っている。そんな著者だけにブログ活用のポイントがよくまとめられている。
 インターネットネットの環境そのものは4年で変わっている部分もあるけれど、ブログ活用の方法を考えるにはとても参考になる。
 
 他にも音楽関連のオススメ書籍はある。以前、ブログにまとめたので、興味のある方はこちらをどうぞ。

 最後に、もう一つ報告。10月にドリルスピンに寄稿した原稿が、ネット上で拡がって驚いた。3日間で48000PV、平均滞在時間620秒という、大きな反響があって、結果的に3部作として書くことになった。まだ読んでない方は、こちらからどうぞ。

■コラムスピン 第40回、42回、43回『iTunes Storeは日本では失敗してるんだよ』

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