それは、記憶に無いくらい色んな種類の汗をかく体験だった。高校時代からのファンで、敬愛する佐野元春さんからラジオ出演の依頼をいただき、1時間番組で対談した。秘書の方からオフィスにお電話をいただいたときは、僕のアシスタントも混乱したらしい。「山口は外出しております。ご依頼の内容はわかりましたが、どのアーティストへのゲストのご依頼ですか?」と答えてしまったと苦笑しながら報告があった。そりゃそうだろう。執筆やセミナーへの出演などの「副業」の稼働も、最近は増えてきているけど、ラジオ出演は初めてだ。ましてNHKFMの名門アーティスト番組。お受けする旨をお伝えして暫くしてから「あっ!俺、ラジオ初めてだ」と思って、不思議な気分になった。
音楽プロデューサーとしてアーティストマネージメントとしてラジオ局には散々お世話になっている。2004年には『月凪』という曲で全国FM局パワープレイの新記録をつくらせてもらった。親しくさせていただいているプロデューサー、ディレクターも多い。ラジオ収録に立ち会った回数なんて数え切れない。でも俺、初めてだったと、また別の汗をかいた。「大丈夫かな?」
音楽プロデューサーとしてアーティストマネージメントとしてラジオ局には散々お世話になっている。2004年には『月凪』という曲で全国FM局パワープレイの新記録をつくらせてもらった。親しくさせていただいているプロデューサー、ディレクターも多い。ラジオ収録に立ち会った回数なんて数え切れない。でも俺、初めてだったと、また別の汗をかいた。「大丈夫かな?」
ユーザーとして楽曲は聴いているし、業界の先輩方がスタッフとして関わってられたから、お人柄についても伝え聞いている。でも、面識は全く無かったので、収録前にお会いしておきたくて、事前に時間をいただいた。
佐野元春さんは、インターネットに関して、最も先駆的な試み、関わり方をされてきたアーティストだ。音楽活動も積極的で、最近だと、雪村いづみさんとのデュエットも素晴らしかった。NHKテレビ『ザ・ソングライターズ』でもインテリジェンスが光っていた。そんな事を思いながら、打合せに向かった。
都内の閑静なエリアにある広いオフィス。大きなソファとテーブルがゆったりとしたスペースの真ん中にある。1時間の予定だったけれど、打合せを終えて失礼したときには2時間経ってた。「音楽配信の未来」について話したいとのことだったので、周辺状況も含めて、僕の知っていること、考え方などを率直に話し、佐野さんのスタンスを伺った。広範な知識としっかりとしたアーティストらしいお考えをお持ちだった。ビジネスマンである僕とは立場は違うけれど、ベクトルは一緒だった。「僕の番組は音楽が好きなリスナーが聴いている。山口さんや僕は色んな情報も持っているけれど、この日は現状への不満3割、未来の希望7割のバランスで話したいけど、どう?」と言われ、「大賛成です。」と答えた。
内容については、オンエアーを聞いて欲しいけれど、良かったのは、2時間弱の打合せの間、世間話が一つもなかったこと。音楽業界でのキャリアの長い人同士の初対面は、しばしば「あの人を知っている?」という話の応酬になる。お互いの人脈をすり合わせることで、安心しようとするし、どんなキャリアの人かを探り合うようなやりとりに時間を割くことになる場合が多い。ところが、この日は全く無かった。僕の書籍もブログも読んでいると最初に伺ったので、自己紹介は省いて、自分の考えと、国内外の音楽ビジネス・サービスに関して知っていることを話した。「一流の人は”業界”ずれしない」という事は知っていたつもりだけど、真摯に語る佐野さんの姿は本当に素敵だった。
収録当日は、ガチンコだった。向かい合って座り、質問を投げかけられる。構成台本を見ながら話せるかと思っていたので、メモ一つ無い状態で、緊張感はマキシマムまで高まった。後から考えると、ジューシーな会話にするという意図だったのかもしれない。ミュージシャンのセッションみたいな感覚だなと、妙に納得がいった。その状況にきちんと対応できたかどうか、自信は無いけれど、佐野さんの包容力のお陰で、上手じゃ無いけど、嘘の無い話ができた気がしている。
NHKの収録スタジオは、佐野さんが入られると、ぴーんと張り詰めて良い感じだった。スタッフが緊張感を持って仕事をしている現場は好きだ。ゲストの僕はリラックスした振りをするのが役割と思い、立ち会いにいらしていた伝説のディレクター湊さんと『サウンドストリート』の昔話などしながら、セッティングを待っていた。
打合せの時にご本人にもお伝えしたけれど、カラオケボックスが一般的になる前、カラオケが苦手な僕が飲み屋に連れて行かれて、どうしても歌わなければならないときはいつも『Someday』を歌っていた。25年位前のレーザーかテ8トラのカラオケで、僕が歌いたいと思える曲は、他に無かったんだ。
もう一つ。ご本人にお伝えしそびれたエピソードがあった事を、佐野さんのベスト盤を聴きながら思い出した。高校時代にやっていたバンドで、たぶんNHKの番組の主催のコンテストに出場した。その時のゲスト審査員が佐野さんだった。僕はキーボーディストだったけど、作詞には関わっていて、歌詞を褒められて喜んだ記憶がある。もう30年位前の事だ。
そんな方からのご指名でラジオで対談するなんて、光栄なことだなぁ。そして、僕の憧れは裏切られること無く、素晴らしい体験をすることができた。柄にも無く、神様に感謝したい気分。記念撮影をねだってしまったのは、友人なら驚くだろう、僕には珍しいこと。「ブログにアップしちゃダメ!」と言われたので、このまま家宝にします^^
放送は12月4日(火)23時〜24時。NHKFMです。お時間ある方は、聞いてみてください。すごく緊張して、へたくそな説明の僕が、でも嬉しそうに話してるはず。
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