2014年10月11日土曜日

「西野カナdarling現象」で再認識するクチコミパワーと新ランキングRUSHの魅力

 最近、注目&応援しているネット上のクチコミを楽曲の人気指標化したRUSH。毎週金曜日に発表されたら必ずチェックするようにしている。音楽プロデューサーとしての定点チェックとしてだけでなく、CREAwebで「来月流行るJポップ」というコラムを連載するようになって、リリース前の人気曲がわかるので助かっている。

 10/10付のRUSH総合ランキングを見ていたら、813日リリースの西野カナdarlingが突然、総合3位に入ってきたので、びっくりしてリサーチしてみた。

 おそらく理由は、ある女子高生による、このツイートだ。
 「Darling」の歌詞に合わせた漫画を描いて、ツイートしたのが公式RTだけで3万を超えている。

 早速、「RUSHニュース」でも分析していた。この記事の内容におおむね賛成だ。

 Yahoo!のリアルタイム検索の結果を見ても、ツイートの1回目と、続編の漫画を投稿した2回目のツイートと、そのタイミングが明確に連動している。
 そして、注目が集まったことに合わせて、iTunes Storeのダウンロードのチャートでも1位になっている。仮にRUSHのランキングアップだけだとしたら、ネットで騒がれただけでしょ?という判断もできるけれど、実際に売上にも結びついているのがすごい。TwitteriTunes Storeの相性の良さは、日本でも欧米でも一般的に語られていることだけれど、今回も証明されている。

 今回の西野カナ「darling」は、歌詞が女性に人気だという噂は耳にしていたけれど、歌詞の世界に触発された無名の女子高生の漫画が、発売2ヶ月後に人気を再燃させるとは誰も予測できなかっただろう。レーベルのPRはリリースタイミングに集中しがちだし、発売日にピークを持って行くのがマスプロモーションの常道だったりするけれど、ユーザーに刺さるのは、新譜リリースタイミングだけでは無いのは当然だね。


 RUSHチャートでは、3週間前にも嵐の数ヶ月間のリリース曲がチャートに入ってきていた、何だろう?と思ったら、ハワイ公演の影響だった。ハワイは彼らにとって縁の深い土地だからファンにとっても特別なのだろう。周知の通り、ジャニーズ事務所は音楽配信を原則的にやっていないので、iTunesなどへの跳ね返りは無かったけれど、もしライブに合わせて、期間限定でも配信をやっていたら、コアファン以外にも広がるチャンスだったかもしれない。

 オリコンは、相変わらずCDの売上という「所有」のチャートに固執している。年間アルバムチャートなら一定の意味があると思えるけれど、週間シングルチャートは、人気楽曲の指標としては機能を失ってしまって久しい。
 Billboardのジャパンチャートは、ラジオのオンエアー回数、ダウンロード数に加えて、レンタルCDでの人気も反映できるルックアップ数(CDをリッピングしてCDDBにアクセスした回数)まで反映されたランキングを作っていて、すごく頑張っているなという印象。

 そんな中で、新たに出てきたネットのクチコミを人気楽曲の指標にしたRUSHの魅力は、「近未来予測的なランキング」であること。RUSHのアナリストと話をしてみると、リリース1週間前に、オリコンランキングは、ほぼ予測できていて、複数買いなどで「作られる」ランキングと楽曲そのものの人気も区別して見ることができているそうだ。既に解析の仕組みは出来ていて、どうやってわかりやすく伝えるかを検討しているという。日本語で書かれたブログとTwitterの全てを解析して、文脈によるネガティブ、ポジティブなども考慮し、数々のノイズ的な投稿を削除する仕組みだというが、毎週見ていると、リアリティを感じられるランキングになっているのがわかる。

 RUSHは、現在、グロースハッカー的に関わってくれるスタッフを募集しているそうだ。音楽メディアや音楽サービスに興味のある人は、応募してみてはいかが? 
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 新しいテクノロジーやメディアを活用すれば、音楽市場や音楽シーンを活性化するんだなと、今回の「西野カナdarling」現象で、改めて思った。だからこそ、LINE MUSICもSpotify Japanもアメブロの音楽サービスも、一日も早く始まって欲しいと心の底から願っている。

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