2011年3月22日火曜日

今、大切なこと。 ~プロ野球開幕延期論議で思うこと~

 プロ野球の開幕延期が問題になっています。
 
 日刊スポーツ「セ29日に開幕延期、4・3までデーゲーム」

 パ・リーグは、開幕を4月12日に延期することにましたが、セ・リーグは、一旦、予定通りの開幕を決めた後に、3月29日に変更しましたが、ナイターや東京ドームでの試合の実施についても、明確な判断を示さず、批判を浴びています。

 この問題について、考えみましょう。

私は、プロ野球のペナントレースは行うべきだと考えます。但し、目的は球団の予定していた収益を確保することではなく、被災地にもたくさんいる野球ファン、直接、被災はしていなくても、悲惨な映像を見て、心が荒んでいるだろう日本人のために行うのです。

関東地方の電力に問題があるなら、名古屋以西でやればいいですし、ナイトゲームが問題なら、東日本ではデーゲームのみにすればいい。ただ、それだけのことだった筈です。そういう真っ当な判断ができない、球団経営者の見識の無さ、一部球団の横暴が、事態を難しくしたと思います。

被災地である仙台にフランチャイズがある楽天イーグルスが所属している、パシフィックリーグが、開幕を遅らせるのは良いと思いますが、セントラルリーグは、デーゲームと名古屋以西と限定して、予定通り開幕すればよかったと思います。

実は、子供の頃からの野球ファンの私が気になるのは「延長戦無しの9回終了制」を
導入すると言っていることです。メジャーリーグに引分けが無いのは、よく知られています。なんでもアメリカが正しいとは思いませんが、引き分けも一つの美しさであるサッカーとは違い、決着をつけるのが野球の基本的な様式だと私は思っています。
以前は引分けが多かった日本のプロ野球も、とりあえず12回まではやるようになって、改善したと思っていたところだけに、今回のセリーグの方針は、とても残念です。デーゲームは日没したら翌日に延長戦、ないし再試合をすればいいのです。それでは、興行が成り立たないという考え方は、本末転倒だと思います。
 野球の醍醐味を守ることが、今のような非常時だからこそ、大切なのではないでしょうか?
 「電気が無さそうだから、延長戦はやらない」というのは、野球を大切にする姿勢とは真逆な考え方です。


 プロ野球選手会が、開幕延期を申し入れたのは、一つの見識として評価すべきだと思います。真っ当な感覚をフロントよりも選手が持っていたということになりますね。ストライキの可能性もささやかれていましたが、ストはやるべきでないと思います。野球選手は、プレイを見せることが最大の仕事です。自ら職場放棄をすることは許されません。
 仮にストライキをやるとすれば、「開幕反対」というような小さなテーマではなく、オーナー会議の不見識を正すような、プロ野球機構の抜本的な改革を目的にするべきです。コミッショナー権限の強化も必要でしょうし、親会社の出向者による「互助会」的な運営から脱して、12球団だけでなく、二軍や独立リーグ、実業団も含めて、野球全体をビジネスとして発展させられる組織をつくることは急務です。学生連盟を含めた、野球文化を振興する視野も大切でしょう。

 話がそれました。

 私が今、一番、大切だと思うのは、日本人が100年以上掛けて、育ててきた野球文化を守り、発展させていくという視点です。魅力的なプレイを真摯に観客に見せることが、日本国民に、被災者の方々に勇気を与えると信じて、粛々と野球に取り組むことが、野球そのものを磨くことが、プロ野球関係者の使命です。
 もし、そんな力が無いのなら、そんなプロ野球は要りません。廃れてしまえばいいのです。

 音楽についても、私は同じことを思っています。コンサートをやみくもに自粛することではなく、社会的状況へ配慮をしながら、よい音楽を届けていくことが、今の日本に必要だと信じています。
 もし今、求められないのなら、そんな音楽は要らないのです。

 そんな覚悟と自負を持って、それぞれの持分で最善を尽くすことが、危機だからこそ大切なのではないでしょうか?








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