2020年4月8日水曜日

JASRAC改革も促すデジタルとグローバルに強い著作権信託会社NexTone。マザーズ上場後の期待。


●ネクストーン阿南CEO「年3~4割売上高伸ばす」

 ネット上では、JASRACの悪口を言うのが大好きな人がたくさんいますよね。僕もJASRACの古い体質に言いたいことはたくさんあるのですが、批判する人たちのほとんどが、誤解もしくは無知からくる感情論で、それを否定していると、なんかJASRAC擁護派みたいになってしまって不本意な気分になります。70年の歴史を持ち、毎年1100億円以上の音楽著作権を徴収分配しているJASRACが日本の音楽業界に大きな貢献をしていることは間違いありません。ただ、歴史の古さ故に問題もたくさん抱えているのです。著作権の話でシンプルな基準があります。何か一家言ある風の人に「NexToneを知ってますか?」と訊いてみるのです。知らなければただの言いたがりなので、その人の著作権ビジネスに関する発言は相手にしなくて良いと思います。是非、みなさん試してみてください。
 2001年施行の著作権等管理事業法で、著作権の徴収分配がJASRAC以外に開放されました。雨後の筍のように第二JASRACができましたが、どこも立ち行かずに消えていきました。その中で残った、JRCとイーライセンスが合併してできたのがNexToneです。株式公開をして社会的な存在感もました育でしょう。コロナ禍もあって資本市場的には困難な中での船出になりましたが、日本の音楽業界が世界市場で活躍するために担う役割が大きい他に替わりのきかない存在です。日本の著作権に関して、もう一つわかりやすい基準があります。現在4%程度のNexToneのシェアが上がれば、音楽業界は良くなります。何故なら、デジタルサービスと、グローバル市場に視野をもった会社だからです。嘘だと思う人は、NexToneについて調べてみてください。僕は株持ってませんし、いわゆる利害関係者ではありませんが、非常に信頼しています。僕にサービスをはじめたばかりのSpotifyの存在を教えてくれたのは現COOの荒川さんです。音楽サービスの未来を感じて興奮して話し合ったのは10年以上前のことです。新しい潮流をチェックし、直接コミュニケーションをとっています。JASRACに一番足らないのは、徴収分配制度の透明性に対する感度ですが、NexToneは前身のJRCのときから「完璧な分配データが入手できなければ、そもそも徴収しない」というスタンスを保ってきています。法的な根拠を背景に「取れるところからで取って、できるかぎり公正に分配する」ことを正義としているJASRACとの最大の違いと言えるでしょう。
 JASRACを不正だと怒る、ファンキー末吉さんや沖野修也さんの批判も根っこはここにあります。友人でもあるので心情的には理解できますし、自分の曲を自分の店で流していて、著作権使用料だけ徴収されて、その楽曲の分配が無いとことに怒りと不信を持つのは当然です。これは大雑把に言うと、JASRACの分配データがアナログだから起きることなのです。おそらく、全体の分配の中で、その曲の分配比率が小さくて、分配データから漏れてしまっているのでしょう。JASRACはそういう事態の対応のために予備の分配枠は取っているでしょうから、きちんと手続きすればそこで対応され支払われるはずです。いずれにしても、何か不正が行われているということでは無いのです。JASRACは創業70年積み上げた信用で徴収分配を行っています、ただ、その信用にカビが生えてしまっていることに鈍感なのが罪なのです。100%透明な分配データを持たないと信頼されないという認識は無いのでしょう。最近、裁判でJASRACが勝った音楽教室での著作権利用についても同じことを感じます。
   3年前に書いたBlogを紹介します。 
●誰がJASRACをカスと呼ばせるのか?

 JASRACについては、あまりにも間違った言説が多いので、近いうちに、一度整理してnoteに書こうと思いますが、最大の問題点は「デジタル時代に透明性に対するシビアさに欠ける」ことです。僕はその原因は、選挙で選ばれる理事の1/3が作詞家、1/3が作曲家である(合わせて2/3、有識者の委嘱理事を含めても過半)というガバナンスが原因だと思っています。高齢で実績のある作詞作曲家の先生は人格的には素晴らしい方々なのでしょうが、デジタルサービスに対する知見をお持ちの方はほとんどいらっしゃいません。役人が大臣を向いて仕事をするように、事務局は理事会を意識しながら業務を行います。JASRACを一般ユーザーや他業種から信頼される存在にするためには、このガバナンスを変えるべきだし、そのためには監督官庁の文化庁の認識が重要なのですが、「カスラック」と言って批判している人たちにそういう指摘を聞いたことがありません。
 これからの日本にとって、音楽著作権の活用は重要です。NexToneをもり立てていきながら、JASRACにデジタル時代に適応した改革を促していく、そんな議論をしていけるとよいなとNexToneの上場に際して、改めて思いました。
 音楽サービスがグローバルになったことで、著作権ビジネスもグローバルな視点が必要です。今週末のMusicTechRadarでは山崎卓也弁護士から最新の状況を伺います。彼の帰国に合わせて組んだ日程が、結局ロンドンからのオンライン参加、どころかイベント自体もオンライン飲みになってしまいましたが、”濃密に”ZOOMで話しますので、興味のある方は是非ご参加ください。

MusicTechRadar Vol.2 グローバル著作権ビジネスWARS

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